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【医師解説】フィナステリドについて。服用ポイント、作用・副作用、データ、注意点等について

 

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フィナステリドとは

男性専用のAGA治療薬

フィナステリドはAGA(男性型脱毛症)の治療薬のひとつです。フィナステリドは男性のみが使用でき、女性の薄毛には使用できません。

プロペシア®はフィナステリドの先発品の商品名

フィナステリドは薬剤の一般名です。「プロペシア®」はフィナステリドの先発品の商品名です。単に「フィナステリド」と言った場合は、様々なメーカーから製造されているジェネリック医薬品を差します。例:フィナステリド 1mg「FCI」のように、一般名「会社名」のように表記されます。プロペシアもフィナステリドも効果効能に差はありません。

ジヒドロテストステロンの生成を抑制

フィナステリドは、テストステロンから活性型のジヒドロテストステロンへの変換時に必要な5α還元酵素(Ⅱ型)を阻害することで、ジヒドロテストステロンの生成を抑制します。この作用機序から5α還元酵素阻害薬に分類されます。

フィナステリドはAGA治療のキードラッグ

原因であるジヒドロテストステロン生成を抑制することから、AGA治療に不可欠な治療薬になります。

1日1回1錠を欠かさず服用しましょう

フィナステリドは1日1回1錠を服用します。(0.2mgも規格がございますが、日本では主に1mgが流通しています)

食事の影響は受けませんので、食前・食後を問わず服用可能です。フィナステリドは半減期が短い(後述)ので、服用を忘れるとジヒドロテストステロンのブロックが疎かになります。効果を発揮するためにも、忘れないタイミングで毎日欠かさず服用をしましょう。

起床時、就寝前、他の薬と一緒に、朝食後、夕食後などライフスタイルに合わせて服用タイミングを決めましょう。

保管について

後述する経皮吸収の恐れがあるため、女性・小児・乳幼児が誤って触ったり服用したりしないような場所で管理をしてください。

また直射日光、高温、湿気を避けて保管してください。薬が残った場合、保管しないで廃棄してください。処方されてから期間が空いた場合は、服用せず廃棄してください。

フィナステリドの作用

AGAの原因ホルモンでであるジヒドロテストステロンをブロックすることで、乱れた毛周期を正常化します。軟毛化した毛髪は太く長い毛髪に次第に生え変わっていきます(硬毛化)。

効果を実感するまでに最低6ヶ月間要します

フィナステリドの効果を実感するには年月が必要です。少なくとも6ヶ月間毎日服用することで早い人は効果を実感し始めます。AGA治療を続けていくほど毛周期が正常化した毛髪の割合が増えるので、長く続けるほど効果は実感しやすくなります(毛髪全体が生え変わるのには数年かかるため)。目に見える変化が現れるまで最低1年はかかると考えましょう。

「抜け毛が減ったかどうか」が効果実感の目安として最適です。

データ-進行予防効果は超優秀!維持・改善も期待できる-

フィナステリドは進行予防効果がとても優秀です。先発品であるプロペシアのデータでは、服用患者の98%は3年間でAGAの進行を認めなかったというデータがでています。また進行予防効果にとどまらず、維持・改善効果も期待できます。服用1年後から維持した割合が40%、改善を認めた患者割合が58%と優秀な維持・改善効果を認めました。服用を続けるにつれ改善の割合は上昇し、3年後には78%の患者が改善を認めています。

フィナステリドの副作用について

結論から申し上げると、フィナステリドに特徴的でかつ重大な副作用はありません。よく性欲減退、勃起不全(どちらも1%程度)が紹介されていますが、プラセボ(偽薬)群と差はなく、患者背景によるものと思われます。すなわち、フィナステリドの薬を服用するのは壮年〜中年の男性ですので、そのような集団では加齢性に性機能の低下が認められる頻度であって、フィナステリドによってその頻度が上昇するわけでないということです。

肝機能障害に注意しましょう!…でもこれって当たり前の話

フィナステリドは肝代謝の薬剤です。また肝機能障害がある患者さんを対象とした臨床試験を行っておりませんので、肝機能障害がある方は服用に注意が必要です。肝機能が正常な方でも、服用開始後に稀に薬剤性肝機能障害を呈する場合がございます。しかし、これはフィナステリドに限った話ではなく、ほぼ全ての薬剤で共通して注意すべきことです。国内の臨床試験では肝機能障害の報告はなく、海外では0.2%の頻度で肝機能障害が報告されています。

下記のような症状は肝機能障害の症状である可能性があるため、もし症状が出現した場合は処方元にご相談ください。

  • 全身がだるい(全身倦怠感)
  • 食欲がない(食思不振)
  • 皮膚や白目が黄色くなる (黄疸)

その他、注意点

以下のような人は注意が必要です。

  • 以前に薬を使用して、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある
  • 前立腺がん検診(PSA 検査)を受ける予定がある方
  • 妊活を考えている方
  • 献血を考えている方(1ヶ月間休薬が必要になります。)

前立腺がん検診を受ける予定がある人

フィナステリドは前立腺特異抗原(PSA)と呼ばれる、前立腺がん検診で使用される腫瘍マーカーを約50%減少させます。前立腺がん検診を受けられる予定の方は、必ず申告をされてください。がん検診に限らず、医薬品になりますので医療機関受診の際は申告をお願いします。

妊婦は触れない

薬剤が経皮吸収され、男子退治などの生殖器官などの正常発育に影響を及ぼす恐れがあります。もちろん、妊婦をはじめとした女性は服用をしないようにしてください。

割って飲まない

フィナステリドは割って飲まないようにしましょう。割れたり砕けたりした場合、安全性・有効性は保証されていません。また前述の経皮吸収による発育障害のおそれがありますので、保管には十分注意をされてください。

妊活中の方

精液中への移行は極めて微量で男性の生殖能力への影響は知られていません。しかし、精子の数や精液量が減少したり、精子の運動を弱めてしまう可能性があるため、一時中断を勧めています。中断の目安はフィナステリドは少なくとも性交渉の1週間前に中止を推奨しています。

献血に制限があります

服用中は献血ができません。フィナステリドは最低1ヶ月以上休薬しないと献血は出来ません。

承認薬のフィナステリドを推奨します

フィナステリドは厚生労働省の承認を得ている医薬品です。「FCI」「トーワ」「サワイ」などのジェネリックメーカーや、先発品のプロペシアなど国内の承認薬の服用を推奨します。

海外輸入品と思われるフィナステリドは服用しないようにしましょう。メーカーが不明なもの(クリニックオリジナルのフィナステリドを謳っているところもあります)、安すぎる医薬品は危険です。

目安として、月々 税込み4,000円未満は海外輸入品である可能性がとても高いと考えています。(承認薬は卸値が3000円以上するため)

海外通販を経由して入手したのフィナステリドには製造過程が不明で粗悪な医薬品が紛れ込んでいる可能性があります。粗悪な医薬品には以下の可能性があり、健康被害の発生するおそれがあります。

  • 薬効成分(フィナステリド)が全く含まれていない
  • 薬効成分が過剰または少なすぎるもの
  • コンタミネーション(雑菌などの混入)の可能性があるもの

実際に調査でニセモノが流通していることが確認されています。

引用: プロペシア錠を服用中の方へ オルガノン株式会社

治療中に不安がつきまとう

前述の通り、AGA治療は長年にわたって続けることで効果が期待できます。もし、海外製の未承認薬を使用していた場合、「薬の品質が悪いから改善しないのでは?」という点が否定できません。治療を続けるうえで、品質を疑ってしまう状況では、治療を続けることも困難になるでしょう。偽物かどうかの区別は患者さんができるはずもありません。

異常に安いのは理由があると考えましょう。

医薬品の開発・製造・管理・販売にはコストがかかります。相場として月々5000〜15000円程度でAGA治療薬(日本製)が処方可能です。信頼できるクリニックのもと、承認薬(日本製の薬)で気長に続けていきましょう。

フィナステリドのまとめ

  • フィナステリドは男性専用のAGA治療薬です
  • ジヒドロテストステロンの生成を抑制します
  • 1日1回欠かさずに服用することが大切です
  • 効果を実感するには少なくとも6ヶ月かかります
  • 見た目の変化を感じるには最低1年はかかります
  • 2年、3年と続けると改善率も高くなります
  • 進行予防効果はとても高いのでやめずに辛抱強く続けましょう
  • 副作用に特異的で重大なものはありません
  • ただし、服用にあたって注意点はたくさんあります(PSA、妊婦、妊活、献血、肝機能障害)
  • 割って飲まないようにしましょう
  • 海外製のフィナステリドは偽造品が紛れ込むため非推奨
  • 日本製のフィナステリドで安心して治療をしましょう

当院のAGA診療では、確かな薬で続けやすいやさしい治療を目指しています。

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