高血圧は治療されている患者の多い代表です。処方を始める際に「その薬は強い薬?」「ずっと飲み続ける?」などの質問をいただくことが多い疾患です。飲み続けることが多い薬だからこそ、薬の特性を知った上で治療を続けていただきたいと考えています。
この記事では当院で処方機会の多い、以下の4つの治療薬に焦点を当てて解説していきます。
- カルシウム拮抗薬
- ARB/ACE阻害薬
- サイアザイド系利用役
- ベータ遮断薬

このように血圧の薬には様々な機序がありますが、期待する役割も様々です。患者背景、特性に応じて使い分けていきます。
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強い薬?弱い薬?
よく患者さんからは「強い薬か弱い薬か」と聞かれます。「強い薬は血圧も下がるが副作用も強い」「弱い薬は血圧が下がらないが、副作用はない」、そのようなイメージがあるのでしょう。しかし、実は「降圧作用もしっかりある、かつ副作用はないもしくは軽微」な治療薬がたくさんあるということを知っていただきたいです。我々医師もそのような薬剤から処方することが多いのでご安心ください。忍容性が高い(副作用がでても軽微で継続できる)かつ、降圧効果が期待できる薬剤の代表例が後述する「カルシウム拮抗薬」と「ARB(エーアールビー)」です。
多くの場合、降圧薬による副作用は問題にならないことが多いです。稀に、なんらかの理由で用量が過剰になり、血圧が下がりすぎれば「ふらつき」などの副作用がでることもあります。しかし、そうならないように1つずつかつ少量から反応を見ながら薬剤調整をします。
複数の薬を少量ずつ組み合わせる
基本的に、1つの薬の増量よりも、機序の異なる薬剤を組み合わせた方が、良好な血圧が得られやすい傾向があります。1剤の少量投与で抑えられない場合には、2〜3種類の作用機序の降圧薬を組み合わせるのが、医師の基本方針です。
それではそれぞれを簡単に説明していきます。
カルシウム拮抗薬
処方機会の多い降圧薬です。血管の壁にある筋肉にカルシウムが入るのを抑えることで、筋肉をリラックスさせ、血管を広げます。効果がマイルドで効果が安定するまでに時間がかかります。
- アムロジピン(商品名:ノルバスク、アムロジンなど)
- ニフェジピン(商品名:アダラートCRなど)
作用がマイルドで効果も高いので、1剤目に処方されやすい薬剤がカルシウム拮抗薬です。ジェネリックも豊富ですし、合剤の選択肢が多いので、医師からも喜ばれます。
主な副作用
血管が広がることで、ほてり、頭痛、ふらつき、動悸、足の浮腫(むくみ)が報告されています。アムロジピンは高用量(10mg)になると、足の浮腫が出る場合があります。その場合は、他剤に切り替えるなどの対応を行います。
ARB/ACE阻害薬
この2種はRAS阻害薬に分類され、アンジオテンシンⅡという全身の血管を収縮させる物質の作用をブロックする薬剤です。
- テルミサルタン(商品名:ミカルディス)
- アジルサルタン(商品名:アジルバ)
- ロサルタン(商品名:ニューロタン)
- エナラプリル(商品名:レニベース)←これのみACE阻害薬
血圧を下げるだけでなく、心臓や腎臓の保護にも優れた薬です。したがって、血圧だけでなく糖尿病や慢性腎臓病がある人への処方が優先されます。
腎臓にある糸球体内圧を下げ、腎臓のフィルターを保護し腎臓病の進行を遅らせます。RAS阻害薬は高K血症に注意が必要です。また投与後に血清Cre値が上昇することがあります。(これは糸球体濾過量が減少したためですので、慌てる必要はありません)
ACE阻害薬は「空咳」の副作用がありますが、慢性心不全の患者には優先的に使用される場合があります。
利尿薬(主にサイアザイド系利尿薬)
血管から余分な塩分を水を減らし、血液のボリュームを調節する薬です。利尿剤には色々種類がありますが、降圧薬として使用するのは主にサイアザイド系利尿剤に分類されるものです。
- インダパミド(商品名:ナトリックス)
- トリクロルメチアジド(商品名:フルイトラン)
- ヒドロクロロチアジド
などです。高尿酸血症や高K血症の懸念があるため、少量で使うのが一般的です。
ベータ遮断薬
交感神経の高まりをブロックし、心拍数を整え、心臓を休ませる薬です。
- ビソプロロール(商品名: メインテート)
- カルベジロール(商品名:アーチスト)
などがあげられます。単に血圧を下げるだけではなく、心臓の負担を減らす「心保護」に主眼をおいて処方するので、脈が速いかた、心不全・狭心症などの人に処方されます。
降圧薬 簡単比較
| 種類 | 代表的な薬(一般名) | 向いている人・特徴 |
|---|---|---|
| カルシウム拮抗薬 | アムロジピン | 全般、高齢な方 血圧を下げる力が強く、安定している |
| ARB/ACE阻害薬 | テルミサルタン、アジルサルタン | 糖尿病、慢性腎臓病がある方 副作用が少なく、臓器保護作用 |
| サイアザイド系利尿薬 | トリクロルメチアジド | 塩分摂取が多い方 |
| ベータ遮断薬 | ビソプロロール、カルベジロール | 頻脈、心臓疾患のある方 心臓の負担を減らす |
これら以外にもARNI(ACE阻害薬では不十分な慢性心不全患者)やMR拮抗薬など降圧薬の選択肢はありますが、主に処方される機会が多いのは今回紹介した4種類です。
必ず主治医の指示に従って、処方を受けてください。また血圧の治療は「良好な血圧を維持する」ことが大切なので、薬物治療で目標血圧に達したら終わりではありません。むしろスタートです。
以上、参考になれば幸いです。
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