アレルギー

アレルギー性鼻炎(花粉症)の症状、原因、検査、治療について

アレルギー性鼻炎について

鼻炎にはアレルギー性と非アレルギー性がありますが、ここではアレルギー性鼻炎について記載していきます。アレルギー性鼻炎には大きく分けて季節性と通年性があります。

季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)

季節性アレルギー性鼻炎は、原因となる花粉が飛ぶ季節にだけ症状があり、花粉症ともいいます。スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、イネ、シラカンバなどが代表的な抗原(アレルゲン)です。

通年性アレルギー性鼻炎(≒ ダニアレルギー)

一方、通年性アレルギー性鼻炎はダニ、ハウスダストによるアレルギー性鼻炎です。ハウスダストには、カビやペットの毛、ガ・ゴキブリなどの昆虫の抗原も含まれますが、通年性アレルギー性鼻炎の原因のほとんどは、室内塵性ダニです。通年性アレルギー性鼻炎 ≒ ダニアレルギー といっても良いくらいです。

有病率は年々増加

スギ、ヒノキ花粉をはじめとした花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)を含む、アレルギー性鼻炎の有病率は明らかに増加傾向にあり、2019年では有病率約50%という驚異的な数字です。

(作図: 鼻アレルギー性診療ガイドライン2020 を参考)

2人に1人がアレルギー性鼻炎に悩まされている現状であり、国民病と言っても過言ではない状況です。

スギ花粉症の有病率

次に年代別のスギ花粉症の有病率(2019年)を掲載します。驚くべきこととして、10〜19歳において約半数がスギ花粉症をすでに発症している状況です。一度発症してしまうと、50代くらいまで罹患していくことが多く、寛解(症状が出なくなること)は10%未満です。60歳以降は寛解する人も出てきます。

 

アレルギー性鼻炎の症状について

鼻症状は鼻汁、くしゃみ、鼻閉

アレルギー性鼻炎の主な症状(3主徴)は、鼻水(鼻汁)、くしゃみ、鼻閉(鼻詰まり)です。この内、くしゃみ・鼻漏の程度は強く相関するため、くしゃみ・鼻漏型といい、鼻閉(鼻詰まり)が他の症状よりも強い場合は、鼻閉型、ほぼ同程度の場合は充全型といいます。

目のかゆみも症状の一つ

「鼻炎」とは称していますが、これらの3症状に加えて、目の症状(かゆみ)も代表的な症状です。これらの4症状、鼻の症状(くしゃみ、鼻水、鼻詰まり)、目の症状(掻痒感)がアレルギー性鼻炎の症状です。

花粉症には目の症状を伴いやすい

花粉症は眼の症状(かゆみ、涙、充血など)があることが多く(アレルギー性結膜炎)、その他、のどのかゆみ(イガイガ感)、皮膚のかゆみ、熱っぽい感じ、下痢などの症状があわられることがあります。

口の中がかゆくなる人(口腔アレルギー症候群)

シラカンバ、ハンノキ、イネ科の花粉症などの人が果物を食べると口の中が痒くなったり、軽く腫れたりすることがあります。口腔アレルギー症候群といわれ、果物にはリンゴ、モモ、スイカ、オレンジ、トマト、キウイなどの報告があります。

症状は吸入性抗原によって引き起こされる

季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)では、スギ、ヒノキ、イネ、ブタクサ、ヨモギなど、通年性アレルギー性鼻炎ではダニ、カビ、ペットなどの抗原がアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)となりますが、これらは吸入性抗原です。アレルギー性鼻炎では、これらのような吸入性抗原を吸い込むことで鼻粘膜や眼の粘膜(結膜)にアレルギー反応がおき症状を惹起します。

アレルゲンを調べたい方に

アレルギー疾患ではアレルゲンを検索・把握することが大切です。特にアレルギー性鼻炎では、原因となる吸入性抗原を除去、回避することが重要になります。しかし、症状だけでは何が原因アレルゲンなのかわかりません。そこで当院では、Viewアレルギー39検査をご用意しています。(※血液検査が必要です。オンライン診療不可)View39検査では、アレルギーの原因となることが多い39項目のアレルゲンに対する特異的IgE抗体価を血液検査で調べることが可能です。

View39では吸入性抗原を19種類調べることが可能です

検査対象となるアレルゲン39項目は以下のとおりです。吸入系のアレルゲン19種類の他、食物系のアレルゲン 20種類の項目を検査可能です。

39種類アレルゲン表縦並び_1080x1080

吸入抗原の推定に有用です。
結果は視覚的にもわかりすく、人気の検査です。蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、喘息、アレルギー体質の方、一度検査を受けられることをお勧めします。

詳しく知りたい方はこちらを参照ください。

※View39検査は治療に必須の検査ではございません。

治療について

治療薬には様々な種類がありますが、メインで使用されるのは抗ヒスタミン薬です。ヒスタミンは症状を引き起こす主な原因物質であるため、鼻汁・くしゃみ、鼻閉どの症状にも効きます。抗ヒスタミン薬を調整しても、症状が抑えらない場合に他の内服や点鼻薬を追加します。

抗ヒスタミン薬の主な副作用は眠気

抗ヒスタミン薬には主な副作用に眠気があります。昔の抗ヒスタミン薬(第一世代)は、脳内のヒスタミン受容体にも作用するものがあり眠気の副作用が頻発していましたが、抗ヒスタミン薬(第2世代)が開発され眠気の副作用の頻度は大幅に改善されました。しかし、それでも眠気は0にはできません。一般的には、作用が強い薬剤ほど眠気の頻度は高い傾向にあります。

運転などするかたは要注意

前述の通り、抗ヒスタミン薬には眠気の副作用があるのですが、その頻度に応じて「自動車の運転等危険を伴う機械の操作」に対して注意喚起があります。

運転をする方は必ずお伝え下さい。

アレグラ(フェキソフェナジン)、クラリチン(ロラタジン)、デザレックス(デスロラタジン)などのはじめの1剤に使う弱めの抗ヒスタミン薬は特に制限はありませんが、中くらいの効果が期待できるタリオン(ベポタスチン)は「注意」、大くらいの効果が期待できる薬剤(ルパフィンなど)は「禁止」するようお伝えします。

作用(イメージ) 運転等 薬剤名
制限なし アレグラ(フェキソフェナジン)
クラリチン(ロラタジン)
デザレックス(デスロラタジン)
注意 タリオン(ベポタスチン)
禁止 ザイザル(レボセチリジン)
ルパフィン(ルパタジン)

 

よく薬の「強さ」と表現されることがありますが、これらはあくまでイメージです。それぞれの薬剤が効く効かないは個人差が大きいため、症状に合わせて弱めのところから開始し調整していくのがベターです。また眠気の副作用は服用を続けていくと慣れていき次第に感じなくなることが多いです。眠気が強く出る・続く場合は、ご相談ください。

妊婦での治療

妊娠中はアレルギー性鼻炎の症状が悪くなることがあります。しかし、胎児へ与える影響を考え治療は慎重でなければならず、妊娠4ヶ月までは、原則として薬物治療は避けたほうが安全です。

抗ヒスタミン薬の比較表

当院で処方することが多い抗ヒスタミン薬の表を作成しましたので、参考に掲載します。
(これら以外の処方も、もちろん可能です。毎年使っている薬等があればお教えください。)

点眼薬の選び方

つらい目のかゆみには点眼薬はが最適です。点眼薬と言っても多種ありますが、選択の観点としては2つあります。

コンタクトを日常的に使用しているか

1つ目は、コンタクトを日常的に使用しているか?です。目薬には基本的には、防腐剤が含まれているため、コンタクトを外しての点眼が推奨されます。目がかゆい症状は、アレルギー性結膜炎の症状ですので、症状が出ているときには、そもそもコンタクトを使用しないことを推奨します。

 

しかし、どうしてもコンタクトを使用する場面もあるかと思います。そのような場合は、コンタクトを使用していても使用可能な防腐剤フリーの点眼薬を選択します。医薬品ではアレジオン点眼薬が該当します。一見便利なようですが、防腐剤が入っていないということは、細菌の繁殖のリスクを伴いますので、目安開封後 1ヶ月以内の使用に留めましょう。(使用環境や使用方法の良し悪しにより使用可能日数は前後します。)

1日の点眼回数の好み、1日2回点眼もでてきました

基本的には、点眼薬は1日4回です。これだと、日中忙しくて点眼できない人もいて、せっかくの効果が期待できない方もいます。そんな方に、おすすめなのは新しく承認された1日2回の点眼で可能な「アレジオンLX 点眼液 0.1%」です。(※注意 アレジオン 点眼液 0.05% とは濃度が異なる医薬品です。)

点眼薬で症状の大部分は抑えられることが多いですが、飛散が多い時期など目薬を差しても痒みが出てしまうことがあり、その都度点眼したい方や1日4回点眼のほうが好みの方は、従来どおりの1日4回の点眼薬をおすすめします。

点眼薬 比較表

3つ薬剤を比較表として、まとめてみました。1日2回点眼が良い方は「アレジオンLX点眼液 0.1%」、コンタクトを常用する方で1日4回点眼でも気にならない方は「アレジオン点眼液 0.01%」、それ以外(コンタクトを使用しない、1日4回点眼)の方は、アレジオン以外の点眼液(例えば、パタノール点眼液)をおすすめします。

皆様の疑問が少しでも、解決したならば幸いです。

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