アレルギー

【医師が解説】ダニアレルギーを和らげる環境整備術|効果的な掃除と寝具の対策ガイド

「朝起きたときに鼻がムズムズする」「ベッドに入ると咳が出る」「年中鼻詰まりがあって、秋(季節の変わり目)に特に悪化する」このようなお悩みをお持ちの方は、室内環境に潜む「ダニアレルゲン」が原因のダニアレルギー性鼻炎かもしれません。

ダニアレルギーの基本対策は「ダニを殺すこと」ではなく、「ダニアレルゲンを除去すること」です。居住環境がアレルゲンで満たされている環境は、体にとってストレスですし、健康を損ないます。

この記事では科学的根拠に基づき正しく効果的なダニアレルゲンの除去方法を詳しく解説します。

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なぜ「ダニアレルゲンの除去」が重要なのか

ダニアレルギーを引き起こす主原因は、生きたダニそのものではありません。実は、ダニの死骸や糞(ふん)が乾燥して細かくなった粒子がアレルゲンとなります。アレルゲン(ダニの死骸や糞が乾燥して細かくなったもの)が空気中に舞い上がり、それを吸い込むことで鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎などの症状が引き起こされます。

アレルゲン除去で症状が改善、予防できる

室内のダニアレルゲンを一定水準以下(例:塵1gあたり2μg以下)に抑えることは、アレルギー症状の改善に有効です。

薬品による駆除は非推奨

ダニを駆除することに注力してしまう人がいますが、殺ダニ剤などの使用はアレルギー性疾患への対策の観点からは推奨されていません。仮にダニが死滅してもアレルゲンは長く残ります。繰り返しますが、大切なのはダニそのものを駆除することよりもダニの繁殖を防ぐこと、アレルゲンを除去することです。

ダニアレルゲンが発生しやすい環境や時期を知ろう!

早速ダニアレルゲンを除去の具体策について紹介したいところですが、その前にダニの生態やダニアレルゲンについて少し解説させてください!効果的な対策を行うためには敵の潜伏場所や特性を知ることが重要です。

ダニについて知ることで、各ダニ対策の「なぜ」がわかります。
なぜ季節の変わり目にダニアレルギーが悪化するのか?も理解できます

室内に生息するチリダニについて

ダニアレルギー原因となるダニの多くは、ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニという種類のダニです。これらは家の中に生息するダニで、チリダニと称されます。

チリダニ(イメージ)

画像引用:ヤマセイ株式会社 HP

 主な種類  ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ
体長 0.3-0.4 mm
 生息場所 カーペット、ベッド、枕、布団、ソファー、畳など
フケやアカ、ホコリなど
 寿命 好条件下で3カ月~1年
(湿度50%以下では生存困難)
時期・繁殖環境 6月から10月の暖かく湿度の高い梅雨から夏にかけて。
高温多湿を好み、「湿度60%以上、温度25〜30℃前後」で盛んに繁殖

これらは人を刺しませんが、人のフケや垢などを餌とするため、それらが付着するところに繁殖します。

布団、枕、カーペット、畳などが主な生息場所です。 家の中には発生しやすい場所はたくさんありますが、一番ダニが繁殖しやすく、対策が必要なのは間違いなく寝具でしょう。

発生しやすい場所

寝具(布団、枕、マットレス) 適度な体温と湿気、エサが豊富なため、最も多くのダニが潜んでいます。
布製ソファ・絨毯 掃除機が届きにくく、奥深くにアレルゲンが蓄積しやすい場所です。
ぬいぐるみ・クッション 洗濯の頻度が低くなりやすく、注意が必要です。
 押入れ  ジメジメした換気悪い場所に寝具を保管し、ダニの温床となってしまいます。

ダニの発生しやすい環境・時期

ダニが繁殖しやすい環境は、「温度25~30℃、湿度60%以上」と考えられています。ダニは乾燥に非常に弱く、湿度50%未満では繁殖はおろか、生存も難しいとされます。

 高温多湿な梅雨〜夏に繁殖し、 寒くなる季節の変わり目(秋)に大量に増殖したダニが一斉に死に絶え、大量のアレルゲンとなり私たちに襲いかかります。

ダニアレルギーが秋に悪化する理由が理解できたでしょうか。

ダニアレルゲンの基本的な除去対策

結論からお伝えします。ダニアレルゲンの除去対策の基本はこまめな清掃と定期的な乾燥機がけです。

引用:「シダキュア・ミティキュアによる治療をはじめる患者さんへ」 鳥居薬品株式会社

1年を通じてこまめに掃除機をかけ、アレルゲンそのものを除去すると同時に、ダニの餌となる人の垢やフケ、ホコリを取り除きます。 そして、湿度を程よく保ち(50%以下)、高温多湿の環境を避け、繁殖を防ぎます。そのうえで、定期的に寝具に乾燥機をかけ、ダニを一斉に死滅させましょう!

ダニを殺すのは乾燥、アレルゲン除去はゆっくり丁寧な掃除機がけ

掃除機がけのポイント

掃除機でゆっくりとこまめにかけることがポイントです。

  • 1㎡あたり約20秒: じゅうたんなどは往復させながら、ゆっくりと時間をかけて吸い取ります。
  • 頻度:週に2回以上が推奨されます。
  • 排気: 排気がきれいなHEPAフィルター搭載の掃除機を選びましょう。吸い込んだアレルゲンが再び室内に舞い戻るのを防げます。

掃除機がけは毎日が理想ではありますが、家全体はとても大変なので、「フローリングなどの床は毎日、絨毯やソファ、布団は週に2回」など各自で可能な形に落とし込みましょう。

布団、マットレスなど寝具にも掃除機を直接かけましょう。

掃除機にはお金をかけよう

価格の高い掃除機は投資する価値のある品だと思います。

清掃能力はやはり桁違いです。ヘッドのブラシの能力(自走式がオススメ)によって、1回の掃除機がけで除去できるアレルゲンの量が明らかに異なります。

せっかく労力をかけて掃除機をかけるなら、1回の掃除でしっかりアレルゲンを除去できる性能が良い掃除機が良いと思います。

うちはDysonの掃除機を愛用しています。

Dysonのような価格帯の高い掃除機を買ったことはなかったので、購入時は悩みました。しかし、家には猫が6匹いて、奥さんも猫・ハウスダストアレルギーで頻回の掃除が欠かせない状況でしたので購入しました。結果、1回の掃除でるホコリ、ゴミ、毛の量が明らかに増え、奥さんの鼻炎症状が軽減しました。使用頻度、満足度からも買ってよかった掃除機です。

布団に特化した掃除機もあるので、良いかと思います。

乾燥機でダニを一掃しよう

こまめな掃除機がけに続いて、ダニ対策に欠かせない「乾燥機がけ」です。

洗濯・乾燥できるものは定期的に乾燥

洗濯できる掛け布団、クッションやカーテンなどに対しては、洗濯機で乾燥して一掃するのがオススメです。

復習ですが、ダニは温度は60℃以上、湿度は50%以下で死滅します。乾燥機は温度、乾燥のダブルパンチです。乾燥機にかけられたダニはほぼ100%死に絶えます

クッション、シーツ・枕・布団カバーなど人が触れるものは定期的に洗濯・乾燥をかけましょう。(目安 週に1回以上)

布団などが家庭用洗濯機には入りきらない場合は、大型の洗濯乾燥機を備えたコインランドリーを利用するのも1つの方法です。

我が家は冬〜春に使用する羽毛布団は必ずシーズン終わりにコインランドリーで洗濯・乾燥します。カバーは週に1〜2回自宅で洗濯乾燥します。とにかく寝具は洗濯乾燥を意識しています。

布団乾燥機はダニ死滅に有用!でもそれだけでは不十分

自宅でこまめに布団を乾燥したい人にとって、布団乾燥機はとても有用です。布団乾燥機でしっかりと乾燥させることができれば、布団の奥にいるダニも全滅可能です。

布団袋不要を謳う商品も出てきましたが、布団袋を使用したうえで布団乾燥機をかけることがおすすめです。

しかし、それだけでは不十分なことが皆様はおわかりでしょう。繰り返しお伝えしていますが、ダニアレルギー対策で重要なのは「ダニの駆除」ではなく「ダニアレルゲンの除去」です。ダニを死滅させただけでは、アレルゲンは長く残ります。大事なのは除去(掃除機がけ、または洗濯)です。

 乾燥でダニを死滅させた後は、必ず掃除機がけをしよう!

乾燥機がけするべきは・・・いつ?

1年中ダニはいると考えられるので、定期的に乾燥機をかけるのは無駄ではないと思いますが、布団乾燥機の場合は、肌寒い冬季にのみ使用する人もいるのではないでしょうか?

暖かいし、ダニ退治にもなって一石二鳥?
しかし、ダニの生態サイクルからわかるように、冬はすでに多くのダニは乾燥で死滅していると考えられるので、やるとしたら繁殖が盛んな時期から秋がベターでしょう。羽毛布団であれば、5月初旬まで使用する人もいるでしょうから、ダニが繁殖しやすい環境になっています。シーズン終わりに、収納する前には必ず乾燥機をかけて収納したほうが良いでしょう。

我が家では「週に1〜2回寝具カバー、シーツを洗濯乾燥し」「羽毛布団など洗濯機に入らないものはコインランドリーで定期的に洗濯乾燥させる」対策で十分と考え、布団乾燥機は使用していません。

参考にしてください。

頻回に洗濯乾燥できるようになったのもPanasonicのドラム式洗濯機を購入した経緯が大きいかもしれません。そういった意味で自宅での乾燥機(種類問わず)は高い掃除機と並んでダニアレルギーがある人にとって必須アイテムかと思います。

天日干しは推奨しません

昔は天日干し→ふとん叩きが一般的な風景でした。
ふとん叩きはダニを粉砕してアレルゲンを増やすと言われているので、推奨されていません。

アレルギーの原因となるチリダニは、最低でも55℃以上の高温にならないと死滅しません(60度以上が推奨)、そのため、日光干しだけでダニを駆除することはできませんが、湿度を下げてダニの繁殖を抑えるという点では有効です。それでも、天日干しはムラがあるので、全体的にカラッと乾燥できる乾燥機がけには劣ります。また、ふとんを外に干す場合は、花粉の付着のおそれがあります。天日干しはやらないよりはやったほうが良いですが、時代遅れ感は否めません。手間や効果を考えると布団乾燥機を使用するべきだと考えます。

ダニ、ハウスダストによるアレルギーがあるひとは、ふとん乾燥機を買いましょう。

防ダニ寝具の導入

「高密度織り」の防ダニカバーを使用すると、ダニが布団の内部に入り込むのを物理的に防ぎ、また内部からアレルゲンが出てくるのも遮断できます。これは、多くのガイドラインでも推奨されている効果的な方法です。

時期別の対策ー繁殖しにくい環境を整えうー

特に季節によって少し意識配分が変わりますので紹介します。

梅雨〜夏(目安6月〜8月)

梅雨〜夏場は、冷房を使用しても室温が20℃以上になると予想なりますよね。このままだと、ダニが大好きな高温多湿の環境になります。したがって、この時期に大切なのは「湿度を下げること」すなわち、「除湿」です。 ダニの繁殖を防ぐため、除湿機やエアコンの除湿機能を利用し、湿度を60%以下に保ちましょう。50%以下に保つと繁殖防止に直結します。

可能ならもっと低く45%以下がオススメです。

湿度計と除湿機

  • 湿度の見える化: 温湿度計を設置し、常にチェックしましょう。
  • 除湿機の活用: 夏場や梅雨時期だけでなく、冬の結露対策としても有効です。

夏は除湿が重要。湿度60%以下(できれば50%)にしましょう。

秋、季節の変わり目(目安9月〜11月)

前述の通り、寒くなり乾燥し始めるとダニが大量に死にアレルゲン(死骸)で劇的に増えます。

逆に言えば、アレルゲンがごっそり取れる絶好のシーズンなので、1年の中で最も掃除機がけ(アレルゲン除去)が大切な時期となります。

寒くなってきたらダニが大量死。掃除機を意識的にかけよう!

ダニが繁殖しやすい家具、ものを使用しない

そもそもダニが繁殖しにくいものを使用しない方が良いでしょう。布製のソファ、毛の長いラグ、畳、ぬいぐるみなどでしょうか。革張りのソファにする、ラグを敷かない、畳をフローリングにするなどやれることはあります。

布団も床敷を避けましょう。、すのこやベッドで空気の通り道を作る、起床時に布団を上げて換気・乾燥を意識するなどしていきましょう。全てはダニが高温多湿が好きで、乾燥に弱いからです。

ペットのフケもアレルゲンになりうるので、室内飼いは避けたほうが無難です。しかし、現代の常識として「ペット(犬猫)は室内飼いが基本」ですので、外飼人間の寝室とペットの寝室は完全に分けましょう。お互いにとって快適かもしれません。

ダニ対策に終わりはない

布団乾燥機でダニを一掃した布団。もうダニの心配は無いのでしょうか?もちろんそんなことはなく、ダニは日常にあらゆるところに存在し、ダニの侵入を完全に防ぐのは不可能です。ダニが繁殖しやすい高温多湿な環境だと、またすぐに爆発的にダニは増えていきます。しかし、乾燥機がけで繁殖を防ぎ、掃除機がけでアレルゲンを除去するなど適切なダニ対策をしていけば症状を抑え、良い生活環境を作ることが可能です。

きちんと睡眠をとることが健康に欠かせないように、ダニアレルギーがある人にとってダニ対策は健康を維持するために不可欠な習慣と考えています。

以上、参考になれば幸いです。

ダニアレルゲン対策まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます。ポイントをまとめます。

  • ダニアレルゲンはダニの死骸や糞が乾燥して粉々になったもの
  • ダニ駆除よりもアレルゲン除去
  • アレルゲン除去の基本は、こまめな掃除機がけと定期的な乾燥機がけ
  • 床の掃除機がけは週に2回以上、ゆっくりとかける
  • 布製品のソファ、ラグ、ぬいぐるみなどを置かない。
  • 畳をフローリングに変える
  • ペットを寝室に入れない
  • 週に1回程度、寝具にゆっくりと丁寧に掃除機がけをする
  • 寝具やカバー・シーツはこまめに洗濯(目安:1週間に1回以上)
  • 寝具も掃除機がけをする
  • 天日干しよりも乾燥機がけを推奨
  • 布団は定期的に乾燥機にかける(布団乾燥機やコインランドリー)
  • 良い掃除機を買いましょう。
  • 乾燥機は何でも良いですが、布団袋を併用しましょう。
  • ダニが通過できない高密度繊維の寝具カバーやシーツを使用する
  • 梅雨〜夏は除湿を使用し、湿度を50%を程度に抑える。
  • ダニが繁殖する夏から秋にかけて特に力を入れて清掃・乾燥をする。

本記事は日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン ―通年性鼻炎と花粉症― 2020年版(改訂第9版)を参考に作成しています。

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 吸入アレルゲン  ダニ、ハウスダスト、スギ、ヒノキ、ハンノキ、ブタクサ、ヨモギ、イネ猫、犬など
 食物アレルゲン  エビ、カニ、小麦、そば、キウイ、りんご、卵白、大豆、サバなど

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