高血圧

最も選ばれる高血圧治療薬「アムロジピン」について解説。その効果、副作用、選ばれる理由、日常の注意点など

高血圧の治療で日本で最もよく使われている薬の一つが「アムロジピン」です。大きな副作用がなく、高齢者にも使用できて、かつ降圧効果が高いなどの理由から好んで処方されています。

この記事にたどり着いた人は「アムロジピン」を実際に処方された人が多いかと思います。服用している薬について理解をしたうえで、治療を続けてほしいと私個人は考えています。

初めの1剤に選ばれやすいです。私もよく処方します。

この記事では専門的知見に基づきながら、服用始めたばかりの患者さんにも伝わるように、アムロジピンとはどんな薬なのか、その効果、副作用、日常生活の注意点までわかりやすく解説していきます。

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アムロジピンってどんな薬?

アムロジピンはカルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬、カルシウムブロッカー)という種類の降圧薬です。Ca拮抗薬の中でも「ジヒドロピリジン系」と呼ばれるグループに属し、主に高血圧の治療薬として使用されます。先発品はノルバスク、アムロジンという商品名で販売されていましたが、現在はジェネリック(アムロジピン)が数多く流通しています。

アムロジピンが選ばれるのには、理由があります。

  1. 1日1回の服用で24時間以上効果が持続する(長時間作用型)
  2. 降圧効果が高い
  3. 重篤な副作用が出にくい
  4. 高齢者にも比較的使いやすい
  5. ジェネリックや配合錠が豊富にある

血管を緩めて血圧を下げる薬

血管平滑筋(血管の筋肉)のL型カルシウムチャネルを阻害し、血管平滑筋が弛緩(リラックス)します。特に末梢動脈が広がることで血管抵抗が下がり、血圧が低下します。

1日1回で長く効く

アムロジピンの降圧効果は即効性はありません。すなわち、作用はゆっくりと現れます。こう聞くとデメリットに聞こえるかもしれませんが逆です。ゆっくり効果が出てくるということは、急激に血圧を下げすぎる心配が少ない(副作用のふらつきが出にくい)ということなのでで、メリットです。また、血中半減期が長い(約36時間)ため、1日1回飲むだけで朝から夜まで安定した効果が期待できます。

安定するまで約1か月

個人差はありますが、効果が安定するまでに1か月ほど服用を要します。

処方からの日数 効果の目安
6〜8日後 血中濃度が安定し、降圧効果も安定
2〜4週間後 その患者さんに対する「アムロジピン◯mgの降圧効果」が明確になります。
1〜3ヶ月後 血圧が安定してくるため、医師が用量を調節します

 6〜8日で血中濃度が安定すると、2〜4週間でアムロジピン◯mgでどれくらい血圧が下がるかがわかるようになります。実際に血圧が安定して下がるまでには、さらに時間がかかることがありますので、一般的には、2〜3か月ほどかけてゆっくりと降圧していくイメージを持つとよいでしょう。

長い年月をかけて少しずつ上がってきた血圧を急激に下げると、めまいやふらつきなどの症状が出ることがあるため、1〜3か月の期間を空けて、お薬の量を少しずつ調節しながら、ゆっくりと血圧を下げていきます。「1〜2週間飲んでも血圧が下がらない」と焦る必要はありません。

飲み忘れてもすぐには血圧は上がらないのが良い

前述した半減期の長さ(約36時間)から、たまに飲み忘れてもすぐには血圧は高くならず効果が持続してくれます。

効果が安定する(※薬剤が血中に蓄積し一定になる)までに時間がかかるのは、これまたメリットです。逆に言うと、薬が体から抜けるまでは同じくらいかかるということです。

※定常状態(薬剤の濃度が一定)といい、アムロジピンは約6~8日と言われています。

高血圧の治療は、目標血圧(目安 上の血圧が130mmHg 未満)を維持することが大切です。飲み忘れたときに血圧が乱高下してしまうと結果へのダメージの原因となってしまうからです。

飲み忘れる人にはアムロジピンがオススメです。

まとめると…

アムロジピンは「ゆっくり、長く」効くのが特徴で、1日1回の服用で24時間安定して血圧をコントロールしてくれます。

アムロジピンでどれくらい血圧が下がるのか?

皆さん気になるのは、アムロジピンで実際にどれくらい血圧が下がるのか?だと思います。
用量や個人差もありますが、目安を提示します。

  • 収縮期血圧(上の血圧):おおよそ10〜25mmHg程度低下
  • 拡張期血圧(下の血圧):おおよそ5〜15mmHg程度低下

アムロジピンは2.5mg、5mg、10mgの用量があります。血圧の高さや年齢などに応じて、2.5mgの最小用量、もしくは5mgからスタートします。

[イメージ]基本的に高血圧の薬は1種類で上の血圧が10mmHg程度下がる

アムロジピンで目標血圧まで下がらなかったら?

アムロジピンは降圧効果が高い薬ですが、1剤だけでは目標血圧に到達しない場合はどうするのでしょうか?

この場合、私はアムロジピンを10mgに増量するのでなく、他の作用機序の降圧薬を併用します。(理由としては、後述する副作用の下腿浮腫のリスクを高めるため)

ベースの血圧が160超えてるいるような中等度の高血圧の人は目安として2種類以上の治療薬が必要になる可能性がある、と思って下さい。(1剤での降圧効果は良くて20mmHgなので)

配合錠で錠数そのまま治療強化!

アムロジピンの良いところは、配合錠の種類の豊富さです。配合錠は、他の降圧薬との合剤です。すなわち、1錠で2種類の降圧薬を服用できます

私が好んで処方する配合錠を2つ紹介します。降圧効果も高くて、従来から先発品が人気でよく処方されていましたが、ジェネリックが流通し始めて更に処方しやすくなった2剤です。

ジルムロ配合錠 テラムロ配合錠
先発品名 ザクラス配合錠LD/HD ミカムロ配合錠AP/BP
用量 アムロジピン 2.5/5mg
+
アジルサルタン 20mg
アムロジピン5mg

テルミサルタン 40/80mg
好きなところ

特徴

降圧効果が高く、ジェネリックの登場で費用対効果高い

ARB(この場合アジルサルタン、テルミサルタン)の併用効果でアムロジピンで懸念される副作用(下腿浮腫)の予防・軽減が期待できる

配合錠があるとスムーズに治療強化しやすい(裏話)

処方の裏話をお伝えします。高血圧の薬の基本は、安全性の観点から1つずつ開始して、目標血圧まで下がるまでゆっくりと増やしていきます。前述の通り「降圧薬1種類で血圧は10〜20程度下がるので、160超えるような中等度高血圧では2種類以上必要になる」ことが多いです。実際に、1〜3ヶ月後の受診時に目標血圧(目安 130未満)に到達していないとすると、我々医師は「まだ血圧が高いので、血圧の薬を増やしましょう」とお伝えします。そうすると…

「血圧の薬を始めたばっかりなのに、また増やすのか!?」
「あまり薬を増やしたくない」

という感情を抱かれることがあります。

血圧が高いのですから、薬を増やすのは合理的なのですが、人はときに「感情で意思決定をしてしまう」非合理的な生物なので、ここでうまく説明し納得いただけないと「ずっと血圧が高い(脳卒中リスクがとても高い)まま、中途半端な高血圧の治療薬を続けていく」もったいない状況になってしまうのです。(実際にいらっしゃいます)

こういうときに配合錠があると、とても便利です。

血圧がまだ少し高いですね…2種類の降圧薬を配合した配合錠がありますので、そちらに変更しますね。錠数変わらず、1錠のままで変わりません

と「錠数は変わらない」という点で、治療強化をすんなり受け入れやすいので、とても助かっています。患者も錠数が増えないので負担が減って嬉しいです。アムロジピンは他の薬との配合錠も豊富なので色々な選択肢があります。

配合錠が多いのも医師から選ばれる理由の1つです!

高血圧の治療薬の基本は、「複数の作用機序の薬を組み合わせる」です。他の降圧薬に関しては、こちらを参照下さい。

アムロジピンの副作用・注意点

副作用は足のむくみ、頭痛、ほてり、めまい・ふらつき、歯肉肥厚(稀)です。

アムロジピンは長期間服用することが多く、副作用が心配になる人は多いと思いますので、初めに申し上げます。ほとんどの場合、副作用は出ても軽微なことが多く使用中止になるようなケースはほとんどありません。

長く服用する薬だからこそ、副作用の出にくい薬が好まれます。そして、選ばれ続けているのがアムロジピンです。

見逃されやすい足のむくみ

副作用の中で、頻度も多く注意すべきものは下腿浮腫(足のむくみ)です。

足のむくみは服用直後に発生するとも限らず、半年経過後に出現することもあるので、薬の副作用と気づかないケースがあります。下腿浮腫がでてきた場合は、主治医にご相談ください。

特に高用量の場合、下腿浮腫の副作用が出やすくなります。

(慢性心不全がある場合は、心不全の悪化による下腿浮腫も鑑別に上がります)

下腿浮腫が出る理由

アムロジピンは末梢の動脈を弛緩させる作用がありますが、静脈はあまり拡張しません。その結果、動脈から毛細血管へ血液がたくさん流れ込む一方、静脈側への戻りが追いつかず、毛細血管内の圧力が高まります。圧力が高まると、血液中の水分が血管の外(間質)に少しずつ染み出してしまい、それがむくみになります。特に重力の影響を受けやすい足首・ふくらはぎ・足の甲がむくみやすくなります。夕方から夜間に悪化しやすく、押すと凹む(圧痕を残す)タイプの浮腫であることも特徴です。

立ち仕事の人など、生理的にも夕方から夜にかけて下腿浮腫は起こります。

下腿浮腫への対処方法

下腿浮腫は主に次の2つで対応します。

  • 用量を減らす(10mg → 5mg→ 2.5mgなど)
  • ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)との併用(むくみが改善しやすい)

浮腫の報告が少ない他のカルシウム拮抗薬、例えばシルニジピン(先発品:アテレック)に変更もひとつの手です。特にARBは細静脈を拡張する作用があるため、作用機序的にも適しています。

利尿薬では改善しません。

その他のむくみ対処法

生理的な下腿浮腫も悪化の要因であるので、一般的なこれらの対策も有効です。

  • 長時間立ちっぱなしを避ける
  • 座っているときに足を高く上げる
  • 減塩を徹底する(1日6g未満を目標)
  • 適度な運動(ふくらはぎの筋肉を動かす)

副作用は出ても軽微なことが多いです。ほとんどの場合、副作用は出ても軽微なことが多く使用中止になるようなケースはほとんどありません。安心して治療を続けていただけたらと思います。

その他の注意点:グレープフルーツジュースは摂取しないようにしましょう

その他の注意点として、グレープフルーツジュースを摂取すると、薬の降圧作用が増強される恐れがあります。カルシウム拮抗薬の代謝酵素(CYP3A4)の働きを阻害すたした結果、薬剤の血中濃度が上がると考えられています。

アムロジピン添付文書より引用

カルシウム拮抗薬服用中は、グレープフルーツジュースの摂取を控えてください。

あまり影響は大きくないので、たまにグレープフルーツジュースを飲むのは大きな影響はないのですが、日常的に飲む人は医師にご相談下さい。
温州みかんやレモン、バレンシアオレンジなどには、通常どおりお召し上がりいただけます。

以上、参考になれば幸いです。

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