リベルサスはGLP-1受容体作動薬という種類の薬剤で、糖尿病やメディカルダイエットに使用される薬剤です。リベルサスは唯一のGLP-1受容体作動薬の経口薬のため、処方しやすい薬剤ではありますが、その服用方法は特殊で注意点がございます。
このページではリベルサスの飲み方について簡単に解説していきます。
リベルサスの飲み方
リベルサスは1日1回1錠を服用します。リベルサスの服用に当たって必ず守っていただきたいことが3つあります。
- 空腹時に服用する(起床時がオススメ)
- コップ半分の水で服用する(120cc)
- 服用後少なくとも30分間は飲食・他剤の服用をしない
それぞれについて解説していきます。
なぜこのようなルールがある?吸収促進剤SNACの存在
解説の前に、なぜこのような特殊な服用方法があるのかについて。GLP-1受容体作動薬はペプチドホルモンであるため、胃で分解されてしまい、従来注射薬しかありませんでした。そこで吸収促進剤であるSNAC(サルカプロザートナトリウム)300mgを含有することで、胃でのタンパク質分解酵素からセマグルチドを保護し、吸収を促進することで経口投与が可能となりました。このSNACの存在がポイントです。
1. 空腹時(起床時)に服用する
リベルサスは1日の最初の飲食の前に服用します。これは胃の中に食べ物や飲み物がある状態で服用すると、有効成分が吸収されなくなるためです。無理なく胃の中が空の状態となると、現実的には起床時がオススメです。
2.コップ半分の水で服用する
これもSNACが関係します。飲酒量とSNACの量によって、吸収効率が変わることが試験によって示されたため、水120cc(コップ半分)で服用するように規定されています。(なぜ120ccなのか?については後述しています、コチラを参照)
3.服用後少なくとも30分は飲食禁止
これも少なくとも30分以上は胃からの吸収のための時間を設けてくださいという意味です。30分あれば作用に必要な曝露量が得られるということです。
この30分間は他の薬、サプリ、水、食事すべて口にしないことが重要です。高血圧など急を要さない薬は、リベルサスの最低30分が終了してからタイミングが良いときに服用しましょう。
リベルサスの飲み方、3つのルールは以上になります。この3つの飲み方を守らないとせっかくの良い薬が吸収されず無駄になってしまいます。必ず守るようにしましょう。
飲むタイミングの考え方、忘れた場合、保管方法など
よく尋ねられる質問に答えるような形で解説します。
昼に起床した場合に服用して良いか
OKです。胃の中が空の状況であれば昼でも構いません。血中濃度の安定のためには、なるべく1日の中で同じ時間帯で服用するのが望ましいですが、多少変動しても構いません。
もし水や朝食を食べてしまったら気づいたときに服用してよいか
その日は服用せずSkipしましょう。胃の中が空でないと吸収は望めません。
通常であれば、胃の内容物は2〜3時間、量や脂質が多い食事だと4〜5時間滞留すると言われています。リベルサスなどのGLP-1受容体作動薬は胃の動きを抑える作用(胃内容物排出遅延作用)があるため、さらに長い時間がかかると考えられれます。次の日から再開しましょう。
忘れてしまうのを防ぐため、起床時に服用することを習慣にすることをおすすめします。
水が多すぎると吸収効率が下がる
なぜ120ccに規定されているのでしょうか。50mLと240mLを比較すると50mLのほうが吸収効率が高いことがわかりました。
また、50ccと120ccで比較したところ、差はありませんでした。
引用: 第1相臨床試験(NN9924-3794)(承認時参考資料)より
上記の試験結果から120ccの水で服用するようになりました。
朝食を食べないんですが服用して良いですか?
吸収には問題ありません。しかし、血中曝露量が多くなりますので吐き気などの副作用に注意が必要です。添付文書から引用した下図を御覧ください。
同じ用量でも投与後絶食時間が30分と60分以上を比較すると絶食時間が長いほうが血中の曝露量が高いことがわかります。※図の最高血中濃度(Cmax)の上がり方や血中濃度時間曲線下面積(AUC)の数値を比較ください。
しかし、30分と60分では科学的な有意な差はありませんでした。吐き気等の副作用がない方で、曝露量を増やしたい方は、絶食時間を60分程度設けるのもありです。
引用: 添付文書
1回に2錠服用してよいか?
これも非常に多い質問です。結論としては、推奨されません。これも水とSNACの量が関係します。リベルサスは3mg、7mg、14mgの規格がありますが、全てに1錠あたりSNACが300mg含まれています。先程の話であったように、製剤1錠(SNAC 300mg)に対して、水120ccでの推奨をされています。SNACは多すぎても少なすぎても吸収に影響を及ぼす可能性があり、7mgを2錠服用した場合と、14mgを1錠服用した場合では、7mg2錠の方が作用が減弱するおそれがあります。適切な吸収を図るためにも、1回の投与で複数錠の投与は避けましょう。
その他注意点、保管方法など
・錠剤はそのままの状態で服用してください(分割・粉砕及びかみ砕いて服用しないでください)
・多量の水、コーヒー、お茶、服薬ゼリーなどでの服用はできません
・湿気と光の影響を受けやすいため、服用直前に PTPシートから取り出すようにしてください
PTPシートも縦に切り取り線はありません。繊細な薬ですので、シートを縦に切って1錠単位で分けるようなことは行わないようにしましょう。