糖尿病

糖尿病の初期症状とは?早期発見のポイントと危険なサインをわかりやすく解説

糖尿病は、初期段階では自覚症状がほとんどなく、知らず知らずのうちに進行してしまうケースが少なくありません。早期治療をすることで、合併症(心筋梗塞、脳卒中、網膜症、腎症、神経障害など)のリスクを減らせるため…ということは知っていても、その早期発見が難しい!

このの記事では、糖尿病の初期症状や血糖値が高いときのサインを少し踏み込んでを解説します。この症状、糖尿病かも?と思った方は、ぜひ参考にしてください。
※【注意】このページでは、一般の方向けにわかりやすい表現に変更しています。

糖尿病の初期症状について

糖尿病の多くは無症状で健康診断を契機に発覚します。しかし、中には自覚症状がきっかけで診断につながるケースもあります。以下のような、症状が出ていないかチェックしてみましょう。

  • 異常に喉が渇く
  • 多飲
  • 頻尿
  • 体重減少
  • 倦怠感
  • 視力低下(目が霞む、見えない)
  • 手足のしびれ(ジンジン感)

順に掘り下げて解説します。

糖尿病の症状が出てもおかしくない状態

通常、糖尿病の診断基準に該当する高血糖状態(空腹時血糖 126mg/dL前後、HbA1c 6.5%前後)でも自覚症状がないことがほとんどです。すなわち、「糖尿病の診断がつく状態であっても、無症状」であることが十分にありえます。では、先程のような初期症状はどのようなシチュエーションの場合に出るのでしょうか?大きく分けて3あります。

  1. 中等度以上の高血糖状態の場合
  2. インスリン不足で体のバランスが崩れた場合
  3. 合併症の症状が出始めた場合

順にみていきましょう。

高血糖による症状 ー 口渇、多飲、多尿 ー

正常の血糖値は、食前・食後を含め70〜140mg/dLの狭い範囲内に厳密にコントロールされています。しかし、糖尿病の状態になると、この範囲から外れだします。個人差はありますが、正常の範囲を大きく越え、中等度以上の高血糖状態を超えるようになると、このような症状を自覚することがあります。、目安として「空腹時血糖で200 mg/dL、随時血糖で300mg/dL」くらいです。このような高血糖状態は、通常よりはるかに濃い血液状態なので、体が危険を感じ、「口渇」、「多飲」、「頻尿」を自覚します。

異常な口渇感、多飲

汗を多量にかく、水分摂取が不足して脱水状態であるなど、生理的な口渇を感じることは日常生活でもよくあるでしょう。気をつけるべきは、そのような状態でもないのに「理由もなく喉が乾く」という異常な口渇感は糖尿病のおそれがあります。喉が異常に渇くので、たくさん飲んでしまいます(多飲)。その飲水量も異常です。1日に数リットル(4〜6リットル)の飲水をしてしまいます。

夜間頻尿も頻回

高血糖状態(濃い血液)からは濃い尿が作られ、濃い尿は体から水分を奪います。つまり、高血糖状態そのものが多尿の原因になり、多尿の状態は更に脱水を悪化させ、高血糖状態をさらに増悪します。 高血糖による多尿は「たくさん飲んだ結果、たくさん尿が出る」という単純な図式ではありません。

「高血糖状態→多尿→脱水悪化→口渇→飲水」のように連鎖し「とにかく喉が乾くし、飲んでも飲んでも口渇が治らず、頻尿である」このような状態になります。

日常的に意識的にたくさん水を飲む人もいて、頻尿気味の人もいるでしょう。生理的な頻尿との違いは、「高血糖状態による口渇と夜間頻尿」です。夜中も尿意と口渇で何度も目が覚める、というのは正常な状態とは言えないでしょう。夜間頻尿が異常な場合は、糖尿病などの病気の症状の可能性があります。夜間に何回も(目安として3〜4回以上)、尿意や口渇で目が覚めてしまうのは何かしらの異常を疑う状態です。

体のバランスが崩れた状態 ー 体重減少、倦怠感 ー

高血糖状態が持続するなどの理由で、インスリンが不足するようになります。インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。血糖値を下げる ≒エネルギーとして細胞内に取り込むことなので、インスリンが足りなくなることは糖をエネルギーが上手く使用できなくなることを意味します。結果、糖(グルコース)をエネルギーとして利用できなくなると、脂肪や筋肉が分解され、そうすると体重減少が出現します。ポイントとしては、「普通に食事を摂取しているはずなのに、何故かどんどん痩せていく」という感じです。さらに分解の過程でケトン体という代謝物が生成されます。そのケトン体が異常に体に溢れた状態になると、倦怠感などの症状がでてきます。そうすると「なにかおかしい」と気づけます。

「高血糖状態→インスリン作用不足→高血糖悪化」と悪循環に陥り、その結果、体重減少・不調をきたすという図式

前に解説した、「口渇、多飲、多尿」と同様に中等度以上の高血糖に由来することが多く、「口渇・多飲・多尿」と同時に「体重減少・倦怠感」を自覚することも少なくありません

このような症状があり、何かおかしいかもと思う場合は、早めに近くの糖尿病内科にご相談ください。

合併症のおそれ ー 視力の低下、手足のしびれ ー

糖尿病の合併症には、眼と末梢神経の合併症があります。これらの合併症は罹病期間が長いほど、病態が進行し、発症(自覚)します。すなわち、症状が出現したときには合併症が進行しているサインです。前述の「口渇・多飲・多尿」など中等度以上の高血糖に由来する症状とは性質が異なります。

目が霞む、ぼやける、見えにくい

主に網膜の血管障害によって、視力低下・視野欠損などをきたします。「かすむようになった、ぼやける、見えにくい」などの自覚症状です。

手足のしびれ

末梢神経障害由来の症状で、手足にしびれ、ジンジン感を生じます。「手袋や靴下の範囲で両側かつ末端に出やすい」ことが特徴です。

早期発見するには?セルフチェックしよう

繰り返しますが、糖尿病の初期症状は出ないことも多く、早期発見が難しいのが実情です。自覚症状が無くても、高血糖は全身の血管を蝕み、様々な病態を進行させます。

  • 健診で「血糖値が高め(または高い)」と指摘されたことがある
  • 家族や親戚に糖尿病の人がいる
  • 若いとき(18歳)と比べて、大きく体重が増えた
  • 食生活が変わらないのに体重が減っている
  • 倦怠感が持続している
  • 異常に喉が渇く、水が飲みたくなる、頻尿である
  • 眼がかすむ、視力が落ちてきた
  • 両側の手先、足裏にジンジン感、しびれがある

 

このような症状は糖尿病以外でも生じることもありますが、自己判断せず医師に相談しましょう。糖尿病は「尿」と病名にはついていますが、「血糖値」が重要です。健康診断などで血糖値が高いと言われたことがある人は、自覚症状がなくても放置をせず必ず受診をしましょう。

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