アレルギー

舌下免疫療法(シダキュア・ミキティア)とは、その効果・副作用について

アレルギー性鼻炎の治療は、アレルゲンを避けることが基本となります。必要に応じて薬物療法やアレルゲン免疫療法、手術療法を行います。舌下免疫療法はアレルギー性鼻炎の治療法の一つです。

このページでは、舌下免疫療法の概要や効果、副作用について紹介します。

このページは鳥居薬品株式会社の「見つけよう! あなたに合った治療法」を参考に作成し、画像を引用しています。

引用先リンク:「見つけよう! あなたに合った治療法」鳥居薬品株式会社 へのリンクはこちら

舌下免疫療法とは

舌下免疫療法はアレルゲン免疫療法の一つで、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から舌下投与することで体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげたり、根本的な体質改善が期待できる治療法です。これまでのアレルゲン免疫療法は、皮下に注射する「皮下免疫療法」だけでした。近年、舌の下で治療薬を保持する 「舌下免疫療法」(sublingual immunotherapy: SLIT)が登場しました。舌下免疫療法は皮下免疫療法のような痛みがなく、自宅で服用可能なことから頻回の受診も不要になります。またアナフィラキシーショックのような全身性副反応が少ないなどのりてしかし、服用量や服用方法、副作用に対する対応など治療に対する患者さんの理解が必要な治療法です。

舌下免疫療法の種類

わが国における舌下免疫療法では、スギ花粉症とダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎が保険適用となっています。当院ではシダキュア(スギ花粉舌下錠)※とミティキュア(ダニ舌下錠)が処方可能です。

※2023年12月現在、シダキュアが出荷調整がかかっており、新規導入の方への処方が出来きません。

舌下免疫療法治療までの流れ

舌下免疫療法を受けるにはスギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎であることの確定診断が必要です。

アレルギー性鼻炎の診断

アレルギー性鼻炎は、問診、血清抗体検査などの検査結果から総合的に診断します。スギ花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)らしいのか、それともダニアレルギー性鼻炎らしいのかを問診で明らかにします。

スギ花粉症について

花粉症とは、植物の花粉が原因となって、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の かゆみなどのアレルギー症状をおこす疾患です。 スギ花粉が原因(アレルゲン)となるものを、スギ花粉症といいます。アンケート調査の結果日本人の38.8%の人がスギ花粉症であることがわかりました。

ダニアレルギー性鼻炎について

通年性アレルギー性鼻炎とは、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状が、季節を問わずあらわれる疾患です。通年性アレルギー性鼻炎の主な原因(アレルゲン)は、ダニ、真菌(カビ)、昆虫、ペットの毛などが知られています。鼻の症状だけでなく、目のかゆみや涙目をともなうこともあります。アンケート調査の結果、日本人の24.5%の人が通年性アレルギー性鼻炎であることがわかりました。

引用・改変:「見つけよう! あなたに合った治療法」 鳥居薬品株式会社

確定診断のための特異的IgE抗体検査

問診からアレルギー性鼻炎を疑えば、次に必要なのが確定診断のための検査です。当院で実施可能なのは、血液検査による血清抗体検査です。

引用・改変:「見つけよう! あなたに合った治療法」 鳥居薬品株式会社

View39検査の案内

当院では、特異的IgE抗体を調べる血液検査としてView39をご用意しています。吸入系のアレルゲン19種類、食物系のアレルゲン 20種類の項目を検査することが可能です。詳しくはこちらを参照ください。

治療について

スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎の確定診断が付けば、舌下免疫療法を開始することが可能です。しかし、舌下免疫療法は服用量や服用方法、副作用に対する対応など患者さんの理解が必要な治療法です。大切な点をお伝えしていきます。

服用期間と服用方法

毎月の受診が必要

舌下免疫療法は3〜5年間にわたり継続して服用します。初めての服用※は、医療機関で医師の監督のもと行い、2日目からは自宅で服用します。少なくとも1ヶ月に1度の受診が必要です。※初回投与は医療機関で行う必要があるため対面診療に限ります。

引用:「見つけよう! あなたに合った治療法」 鳥居薬品株式会社

服用方法

1日1回1個を舌下投与します。舌下投与後は1分間はつばを飲み込まず、保持します。飲んだ後は5分間はうがいをせず、飲食を控えましょう。

シダキュア・ミティキュアは、舌の下に置くと、すぐに唾液で溶けてなくなります。他の錠剤よりも湿気を吸いやすく、やわらかいのが特徴です。

シダキュア(スギ花粉舌下錠)の治療スケジュール

スギ花粉が飛散している時期(地域によって異なりますが、おおよそ12月〜5月)は治療を開始することができません。

引用:「見つけよう! あなたに合った治療法」 鳥居薬品株式会社

ミティキュア(ダニ舌下錠)の治療スケジュール

一方、ミティキュアは開始時期はいつでも可能です。初めの1週間は3,300JAU錠を服用し、2週目以降は10,000JAU錠を服用します。

引用:「見つけよう! あなたに合った治療法」 鳥居薬品株式会社

期待できる効果

長期にわたり、正しく治療が行われると、アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量が期待できます。スギ花粉症とダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎の舌下免疫療法では、以下の効果が期待できます。

いつから効果を実感できる?

スギ花粉症の舌下免疫療法では、治療開始後の初めてのスギ花粉飛散シーズンから、ダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎の舌下免疫療法では、治療を開始して数ヵ月後から効果が期待されます。年単位で継続することで最大の効果が得られると考えられます。

症状改善のイメージ図

全体的に症状が緩和され、年々症状が軽くなるそのような改善イメージです。

シダキュア

ミティキュア

舌下免疫療法の特徴まとめ

一般的な薬物治療は「出てしまった症状を抑えこむ治療」ですが、舌下免疫療法は「薬が不要になる可能性がある」治療です。完全に症状がおさえられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の使用量を減らすことが期待できます。舌下免疫療法の特徴をまとめました。

  • アレルギー症状を和らげ、治癒する可能性がある(薬が不要になる)
  • 月に1回の受診が必要
  • 治療期間は長期間(3~5年)必要
  • 年単位で継続することで最大の効果が得られると考えられる
  • 治療終了後も長期にわたり症状をおさえる可能性がある
  • スギ花粉症の舌下免疫療法では、治療開始後の初めてのスギ花粉飛散シーズンから効果が期待される
  • ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法では、治療を開始して数ヵ月後から効果が期待される
  • アレルゲン投与することから局所や全身のアレルギー反応が起こる恐れがある

副作用

アレルゲンを舌下投与することから局所または全身性のアレルギー反応が生じることがあります。

  • 服用後少なくとも30分間
  • 服用開始初期
  • (シダキュアの場合)スギ花粉が飛散している時期

これらの時期は症状の出現に特に注意してください。下記のようなアナフィラキシー初期に

主な服用としては局所反応が多く、口腔内または口腔周囲の軽微なアレルギー反応とお考えください。

  • 口の中の浮腫、かゆみ、不快感、異常感
  • 唇の腫れ
  • 喉の刺激感、不快感
  • 耳のかゆみ など

重篤な副作用として全身性のアレルギー(アナフィラキシー、またはアナフィラキシーショック)が生じる可能性がゼロではありません。アナフィラキシー早期に見られる症状として、以下のものがあります。

このうち、呼吸器症状(呼吸困難感、喘鳴)や意識障害、循環器症状(頻脈、不整脈、血圧低下)、消化器症状(腹痛、嘔吐)などの皮膚症状以外の症状が出現した場合は、緊急性が高いと考えられますので、救急要請する必要がございます。

以上で、舌下免疫療法の紹介を終わります。舌下免疫療法を詳しく知りたい方は「トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ」を御覧ください。舌下免疫療法が可能な施設を検索出来ます。