痛風について

痛風とは、関節に付着した尿酸の結晶が剥がれることで生じる激しい関節炎です。日本人の痛風発症年齢は30~40歳代で、発症部位の多くは足の親指の付け根の関節ですが、その他足関節、膝、手指、肘などに生じることもあります。痛風発作は再発を繰り返すため、発作の治療から原因となる高尿酸血症の治療へとスムーズに行うことが重要です。

引用:サワイ高尿酸血症・痛風ハンドブック

痛風のリスク

痛風のリスクとして、男性、肥満、飲酒(特にビール)、プリン体を多く含む食事(肉類、魚介類)があります。ある研究(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33231639/)では、BMI30以上の人は、BMI23以下の人たちと比較して痛風発作のリスクが2.65倍という結果でした。

また飲酒も同様に飲酒量に比例して、リスクが高くなる傾向があります。

高尿酸血症と痛風のリスク

痛風の原因は高尿酸血症によって生じる尿酸の結晶です。血清尿酸値が高くなればなるほど、累積での発症率は高くなります。

参考:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15188314/

引用:https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0052/G0000210/0011

痛風の治療

痛風の治療は、発作があるときと、発作が治まったときに分けられます。発作が起きているときは解熱鎮痛剤であるナイキサンに加え、発作寛解・予防薬であるコルヒチンを併用し、早期に炎症早期に治めます。しかし、炎症が強くなってしまった痛風は発作はしばらく続く傾向があるため、早めの治療が重要です。

発作がおさまったあと(寛解期)は、発作を起こさせない予防治療すなわち、原因となる高尿酸血症の治療が重要になります。発作時に用いたコルヒチンは、発作予兆期に使用することが出来きます。

高尿酸血症を治療することで、痛風を起こさせない。それでも起きそうな場合(予兆時)はコルヒチンを内服開始し、痛風を未然に防ぐ!

風風の治療は痛みが治まったら終わりではありません。続いては高尿酸血症についてみていきます。

高尿酸血症とは

高尿酸血症とは、血清尿酸値が 7.0mg/dL 以上の状態を指します。これは概ね尿酸が血液中に溶解できる上限の濃度で、これ以上となると結晶として析出して、痛風を引き起こしたり、腎障害(痛風腎)の臓器障害まで引き起こします。その他、高尿酸血症は高血圧、心血管疾患、尿路結石のリスク因子となります。高尿酸血症の治療は主に痛風発作の予防目的として行われます。
日本人の高尿酸血症の発症頻度は男性で20%、女性で5%とされ、男性の発症の頻度が高いとされています。

 

高尿酸血症の治療について

高尿酸血症があるからと言って、すぐに薬物治療を開始するわけではございません。尿酸値の大きさや、合併症の有無で判断します。高尿酸血症の治療開始に関してはガイドラインが存在し、痛風発作歴のある高尿酸血症は治療が推奨されます。腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの合併症がある方は、血清尿酸値 ≧ 8.0 mg/dL で推奨され、合併症がない方でも、血清尿酸値 ≧ 9.0 mg/dLで治療開始が推奨されます。

ガイドラインは一番重要な治療の指針となるものですが、治療開始の判断は個別に行います。特に無症候性高尿酸血症(痛風発作のない人)への治療介入は、総合的な判断となります。

血清尿酸値の目標と対策

治療の目標値は血清尿酸値 6.0mg/dL以下です。まずは高尿酸血症の原因となっている生活習慣や肥満が無いかを確認し、生活習慣の見直しから始めましょう。肥満がある方はまずは痩せること、飲酒量が多い人は飲酒量を減らすことからスタートしましょう。当院ではInBodyという医療用の体成分分析を導入していますので、隠れ肥満をあぶり出すことも可能です。

InBody による体成分分析いたします。

肥満や飲酒習慣から高尿酸血症を呈している場合は、減量・減酒が最優先ですし、糖尿病・高血圧などの他の代謝性疾患を併発している場合は、薬物治療を速やかに開始したほうが良いでしょう。一方、遺伝的な要因もあるとされ、食事・運動療法のみでは改善しないこともしばしばあります。

痛風発作や高尿酸血症の際は、お気軽にご相談ください。

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