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ミノキシジルとは
ミノキシジルとは薄毛の治療薬として使用されている薬剤の一般名です。
ミノキシジルにはその形態によって錠剤(俗に、ミノタブと言われます)と塗り薬のミノキシジル外用薬があります。
ミノキシジルの内服薬は当初降圧薬として開発されていた
ミノキシジルは、元々は高血圧治療の内服薬として開発されていましたが、その臨床試験中に多毛症(全身の体毛が太くなる)の副作用が報告されました。その他の重大な副作用(うっ血性心不全、動悸など)のため、降圧薬としては承認されませんでしたが、現在では薄毛の治療薬(ミノタブ)として転用されています。しかし、副作用(後述)が懸念されることからミノキシジル錠(ミノタブ)は薄毛の治療薬として承認がおりていません。
薄毛治療目的にミノキシジルの塗り薬が開発された
ミノキシジル錠の副作用を軽減し、発毛作用が得られるように開発されたものが塗り薬であるミノキシジル外用薬です。薬効成分を患部に直接塗布・浸透作用させるため、ミノキシジル錠(ミノタブ)のような全身性の副作用は出現しません。ミノキシジル外用薬は、AGA(男性型脱毛症)、及び女性の薄毛(壮年性脱毛症)の治療薬として厚生労働省から承認を受けています。日本では男性用は5%、女性用は1%の濃度になります。
ミノキシジルの作用
ミノキシジルは毛周期の成長期および休止期に作用し、抜け毛抑制・発毛促進作用を有します。ヘアサイクルについて簡単に解説します。
AGAの毛周期(ヘアサイクル)について
髪の毛が生え変わる周期のことを毛周期(ヘアサイクル)といいます。毛周期には次の3つのステージがあります。
- 髪が太く伸びる成長期
- 成長が止まる退行期
- 抜けるのを待つ休止期
壮年性脱毛症やAGAの方は男性ホルモンの影響で成長期が徐々に短縮され、毛髪は太い毛に成長しないまま退行期、休止期に移行し抜け落ちてしまいます。進行するにつれて、毛周期は更に短くなり、これを繰り返すことにより、毛髪が薄く見える状態になっていきます。
ミノキシジルは初期成長期、休止期の毛包を刺激する
ミノキシジルは毛母細胞を刺激することで、2つの作用を有します。1つ目は、初期成長期に作用し、脱毛を抑制する作用。2つ目は、休んでいる毛(休止期)を成長期に移行させる、発毛促進作用です。
【男性用】フィナステリド、デュタステリドとの併用は可能
AGA(男性型脱毛症)治療薬の代表役としてフィナステリド、デュタステリドがあります。これらは原因ホルモンであるジヒドロテストステロンの生成を抑制する作用機序ですので、作用機序が異なるため、フィナステリドまたはデュタステリドとミノキシジルの併用はAGA治療に大変有効です。
ミノキシジル錠(ミノタブ)の副作用
心臓に負荷がかかる
血管拡張作用があるため、血圧低下、動悸、浮腫、頭痛、ほてり、心不全などの副作用に注意が必要です。心負荷作用がかかる薬であるため、高血圧や心疾患(不整脈、心不全、狭心症など)の基礎疾患がある患者さんはミノキシジル錠(ミノタブ)の処方は推奨しておりません。また、作用・副作用は用量依存性(mgが多くなればなるほど作用が強い)のため、安易に個人輸入で高用量のミノキシジルを漫然と使用し続けることは副作用出現のリスクが高いため、中止を推奨します。
全身の毛が濃くなる-多毛症-
ミノタブは、血管を通じて全身に作用するので多毛症(全身の毛が濃くなる)副作用があります。腕や足、額の産毛が濃くなったりします。
古い毛髪が抜け落ちる-初期脱毛-
前述の多毛症に加え、ミノタブに特徴的な副作用として初期脱毛があります。これはミノキシジル錠(ミノタブ)服用後、1ヶ月ほどで抜毛が増える現象です。これは新しい毛髪が古い毛髪(休止期)を押し出しているため起きる現象です。ミノキシジルの作用が出ている証ではあるのですが、抜けるのでびっくりされる人がいますので、副作用として紹介されていることが多いため、こちらに紹介しました。
外用薬の副作用
かぶれ・痒み・発赤
局所に作用するため、頭皮の軽微な副作用となります。かぶれや痒み、発赤などです。
外用薬とミノタブについて
2剤の違いを簡単にまとめてみました。
ミノキシジル外用薬の特徴
ミノキシジル外用薬は安全性が高く、効果も実証されているお薬ですが、注意点がひとつあります。それは、効果を実感するには少なくとも4ヶ月間の使用が必要ということです。なおかつ、1日2回朝晩欠かさず患部に塗布を続けることが必要です。とても良い薬ですが、、効果が出る前に「効かない」と誤解して中止してしまう人がいる残念な扱いを受けている薬です。
ミノタブの特徴
一方、服用後、早い人は1〜2ヶ月で効果を実感します(前述の初期脱毛)。飲み薬で1日1回ですので、塗り薬と比較して続けやすいという声が聞かれます。
外用薬とミノタブの比較表
比較表を作成しました。気になる方は御覧ください。大きな違いは副作用の大小、作用発現までの早さでしょうか。ミノキシジル錠(ミノタブ)は治療薬として承認されておりませんので、データはありません。ミノキシジルの外用薬は少なくとも4ヶ月間は連続使用を行うことで効果が発現し始めますが、ミノキシジル錠(ミノタブ)は1〜2ヶ月で初期脱毛が始まり効果として実感をはじめます。
どちらがオススメか?
AGA治療は長期にわたります。したがって、なないろクリニックでは安全性・効果を重視し、ミノキシジル外用薬(リキッド)を推奨しています。
当院でミノタブを処方する場合
多いのは「これまで使用していたから」という理由です。また外用薬が続かない、錠剤のほうが続けやすいといった観点でミノタブを選択することも考慮します。ただし、ミノタブは副作用が問題となる薬剤ですので、ミノタブを考える場合は副作用のリスクを患者側が許容できるか?という視点が重要です。
処方の実態として、ミノタブが多い
当院としては、価格が安い、錠剤が良いという理由以外で積極的にミノタブを選ぶ理由はないと思われます。しかし、世間一般的にはミノタブが多く処方されている実態があります。これはなぜでしょうか。私見ではありますが、世の中の自由診療クリニックが安易にミノタブを推奨・処方しているからだと考えます。ミノタブが処方されやすい背景として、以下のものが挙げられます。
- ミノタブのほうが利益が出るため(海外輸入品のため、仕入れ値が大幅に安い)
- 外用薬は第一類医薬品としても購入できるため
自由診療クリニックの背景には美容系や企業系がバックにいることもあり、治療の考えがビジネス寄りになっていることが散見されます。当院では目先の利益よりも患者さんの利益を一番に考え治療を提案したいと考えておりますので、ミノタブではなく承認薬であるミノキシジル外用薬を推奨しています。
当院のAGA診療では、確かな薬で続けやすいやさしい治療を目指しています。
AGAの診療案内はコチラを御覧ください。
下記リンクからアプリをダウンロードし、診療メニュー > AGA外来よりご予約ください
なお、当院ではノキシジルタブレット(ロニテンジェネリック)を輸入しています。
ミノキシジル錠 5mg (ミノタブ)について[医療広告ガイドライン- 限定解除-]
未承認医薬品等
ノキシジル 5mg(一般名:ミノキシジル)は、AGA治療目的での処方は国内では承認されていません。入手経路等
T.O.CHEMICALS社で製造されたノキシジル(一般名:ミノキシジル)を当院で個人輸入しています。参考サイト:「個人輸入において注意すべき医薬品等について」
国内承認医薬品等の有無
ノキシジル(一般名:ミノキシジル)と同成分かつ同形状(錠剤)の医薬品は国内で承認されておりませんが、同成分かつ外用薬は第1類医薬品として、「ミノキシジル外用薬 5%」が承認されています。諸外国における安全性等に係る情報
諸外国において発毛の治療薬として使用されていますが、長期的な安全性は評価されておらず、長期的な使用により重大な副作用(うっ血性心不全)など懸念されます。また、高用量のミノキシジル錠も販売されており、個人の忍容性を超えた服用が危険視されています。医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。