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不眠症治療薬『デエビゴと『ボルズィ』の違いとは?特徴と選び方

不眠症治療の新しい選択肢としてオレキシン受容体拮抗薬が注目されています。

その中でも、当院でも多くの処方実績のある「デエビゴ」(一般名:レンボレキサント)と2025年11月新しく販売されたオレキシン受容体拮抗薬である「ボルズィ」(一般名:ボルノレキサント)に焦点を当てて解説をしていきます。両剤は同じ仕組みの薬ですが、細かな違いや選び方に違いがあります。

「自分にはどちらが合っているのだろう?」と疑問に思う方に向けて、専門的な知見から両薬の違いと選び方のポイントを詳しく解説します。

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オレキシン受容体拮抗薬について

両剤はどちらもオレキシン受容体拮抗薬に分類される薬です。

自然な眠りに傾ける作用機序

オレキシンとは脳内で覚醒を維持する物質です。不眠症の方は、夜になってもこのオレキシンの働きが活発なため、脳が覚醒し続けて眠れなくなってしまいます。このオレキシンの働きをブロックすることで、自然な入眠と睡眠維持をサポートします。

イメージ図(デエビゴを用いて説明)

 

例えるなら、覚醒のスイッチを静かにOFFにする薬です。

依存性のない睡眠薬

従来の睡眠薬は、脳のGABA受容体に作用して強制的に眠らせる(脳の全体の機能を低下させる)もので、記憶が飛んだり、転びやすくなったりする副作用、および依存性など様々な懸念があるものでした。一方、オレキシン受容体拮抗薬は前述の通り「覚醒ホルモンを競合(ブロック)し、自然な眠りに傾ける薬」で、依存性のリスクが極めて少ない(ない)とされています。

オレキシン受容体拮抗薬は比較的新しい薬です。(デエビゴは2020年発売で、ボルズィは2025年発売)

不眠症、特に入眠障害が多いとされる現代人の不眠症患者において、依存性が無くかつ効果の高いデエビゴ、ボルズィのようなオレキシン受容体拮抗薬は福音かもしれません。

私も大学生くらいから不眠症に悩まされていました…
でもデエビゴが発売されてからは、安心して使用することができるようになりました。

依存性が無く、入眠障害に悩む多くの現代人に推奨される

副作用は共通

オレキシン受容体拮抗薬の副作用として、以下の3つが代表的です

  • 悪夢
  • 睡眠麻痺(いわゆる、金縛り)
  • 眠気が残る(翌日への持ち越し)

覚醒の維持ホルモンをブロックして眠気を誘発するので、このような副作用が出現することがあります。また朝、眠気が残ることがありますが、これは不眠症治療薬全般で起こり得る副作用です。

デエビゴとボルズィの違い

デエビゴの特徴

入眠と睡眠維持に有効とされます。デエビゴが人気があるのはその「入眠作用」の高さだと個人的には思っています。デエビゴが発売される前は、「ベルソムラ」という薬が発売はされ、とても良い薬なのですがベンゾジアゼピン系(従来の依存性のある睡眠薬)の存在感が拭えませんでした。しかし、デエビゴが発売されてから「あれは良く眠れるらしい」と話題になり、徐々に我々の認知度も高まり処方機会が多くなっていきました。

睡眠維持効果も期待でき、中途覚醒にも有効です。

ボルズィの特徴

ボルズィの特徴は半減期が短い(約2時間)ことです。これにより、翌朝への持ち越し効果(残眠感や眠気)が少ないことが期待されます。ボルズィも高い入眠作用を持ちます。

個人的には入眠作用は十分で、デエビゴと大差はないと感じています。

比較表

デエビゴ(レンボレキサント) ボルズィ(ボルノレキサント)
主な得意分野 入眠困難+中途覚醒 入眠困難+翌朝の切れの良さ
半減期 長い(約50時間) 短い(約2〜3時間)
自動車等の運転 従事させないこと
(原則禁止)
慎重な判断が必要。
眠気が残存した場合は不可。
(注意して運転可)
用量 2.5、5、10mgの3種類 2.5、5、10mgの3種類
向いている人
  • 依存性のある睡眠薬から脱却したい
  • 中途覚醒に悩まされている
  • 睡眠時間が確保でき、翌朝の多少の眠気は許容できる
  • 他の睡眠薬で翌朝の眠気が残った
  • 運転する機会がある
  • キレの良いオレキシン受容体拮抗薬が良い

比較表から分かるように、大きな違いは半減期(残りやすさ)です。朝までしっかり効かせたい場合はデエビゴ、翌朝残りやすい人はボルズィのような考えになります。

デエビゴだから必ず翌朝まで持ち越すとは限らない

デエビゴの半減期をみるととても長い(約50時間)のが分かるかと思います。では、その間ずっと効果を実感するか?というとそうではありません。覚醒ホルモン「オレキシン」を思い出してください。朝になるとこの「オレキシン」の分泌が盛んになるため、薬による競合(ブロック)を跳ね除けていき、薬が体内に残っていても自然と目覚めることができます。

薬の濃度だけでなく、オレキシンの濃度も「薬の切れ」に関わります。

車を運転する人はボルズィが良いでしょう

添付文書上では、「自動車運転等危険を伴う機械を操作」に関して違いがあります。表現をわかりやすくすると以下のようになります。

 デエビゴは「運転禁止」、ボルズィは「注意して運転可」

したがって、車の運転する機会があるひとは、ボルズィの処方が妥当と考えることができます。しかし、繰り返しますが薬剤には個人差があり、ボルズィだから翌朝持ち越ないとも限りません。ボルズィであってもなんでも睡眠薬を服用し、作用が残っている場合は車の運転は控えましょう。

入眠作用はどちらが強いのか?

良く聞かれる質問です。結論、 個人差が大きいため一概には言えません。

受容体をブロックするという薬の機序から、オレキシン受容体拮抗薬の効果の程度には個人差があります。花粉症の飲み薬(抗ヒスタミン薬)でも、同様に「ある薬剤が人によってはすごく効いたり、効かなかったり」と個人差が大きいタイプの薬です。個人的な感覚で言うと、デエビゴ、ボルズィどちらも十分な入眠作用を有していると感じます。

まとめ:

デエビゴ、ボルズィともにオレキシン受容体拮抗薬に分類される、比較的新しい睡眠薬です。依存性がなく、覚醒ホルモンをブロックし自然な眠りを誘発します。どちらも十分な入眠作用を有していますが、作用の実感には個人差があります。

デエビゴは睡眠維持作用が期待でき、ボルズィは薬のキレが良い特徴があります。運転をする人はボルズィが推奨されます。

以上のようなまとめになりました。

なないろクリニックでは、デエビゴ、ボルズィどちらも保険診療にて処方が可能です。(同時は不可)

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