アレルギー

【医師解説】アレルギー性鼻炎の治療に有効なステロイド点鼻薬とは?特徴と正しい使い方を徹底解説

「花粉症やダニアレルギーで鼻がつまって苦しい」、このようなアレルギー性鼻炎で苦しんでいる人はたくさんいらっしゃいます。

「薬を飲んでいるのに、鼻水が止まらない」ケースでは、点鼻薬を使用していない場合も多いのが実情です。そもそも「ステロイド点鼻薬」の存在を知らない患者さんも多くいます。実は、ステロイド点鼻薬はアレルギー性鼻炎の第一選択として推奨されています。(鼻アレルギー診療ガイドライン 2024)

「ステロイド」という言葉を聞くと、「副作用が怖い」「強い薬なのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在の鼻アレルギー診療において、ステロイド点鼻薬は「効果が高く、かつ全身への副作用が極めて少ない安全な薬」として第一選択薬に位置づけられています。

第一選択にも関わらず、ステロイド点鼻薬を処方されている人が少ないのが実情です。
私は、ステロイド点鼻薬を積極的に処方しています。

抗ヒスタミン薬などの「飲み薬」のみで症状を抑えようとするのは実は理にかなっていません。ステロイド点鼻薬を使用することで、症状の発生を抑え快適なシーズンを過ごせる可能性が高まります。

この記事ではステロイド点鼻薬について、その特徴と使い方などについてわかりやすく解説していきます。

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ステロイド点鼻薬とは

ステロイド点鼻薬は、鼻腔内に直接噴霧する局所ステロイド薬です。鼻の粘膜で強い抗炎症作用と抗アレルギー作用を発揮し、アレルギー反応による炎症を抑えます。炎症物質の産生を阻害したり、好酸球などの細胞浸潤を抑えたりする仕組みです。

この「局所」に作用するステロイド薬というのがポイントです

炎症を抑える作用機序

花粉症のようなアレルギー症状はIgE抗体がマスト細胞にくっつき、マスト細胞から「ヒスタミン」が大量に放出されることで引き起こされます。

抗ヒスタミン薬などの内服薬は、症状の原因である化学物質(ヒスタミン)が作用するのをブロックします。一方、ステロイド点鼻薬はこのアレルギー反応自体を抑制します。よく火事に例えるのですが、抗ヒスタミン薬(飲み薬:アレグラなど)は火を鎮火させる働きです。点鼻薬は鎮火作用のみならず、火を大きくしない・発生させない役割があります。

症状が強くなってしまうと、ヒスタミンの量が多くなってしまうので、抗ヒスタミン薬の鎮火だけでは間に合わなくなってしまいます。

ステロイド点鼻薬の火を起こさせない、大きくしない作用が大切です。
抗ヒスタミン薬 ステロイド点鼻薬
仕組み ヒスタミン(アレルギーの原因物質)の働きを抑える 鼻の粘膜の炎症を直接強く抑える
効果 症状を抑える 症状を抑える、悪化させない

効果が高く安全性が高い局所ステロイド薬

ステロイド点鼻薬の重要なポイントは鼻の局所で主に作用し血液への吸収が非常に少ない点です。そのため、全身性のステロイド薬(飲み薬や注射)と比べて、副作用の心配が少なく、長期間の使用も比較的安全です。

「ステロイド」と効くと副作用が強い薬であるイメージが先行している患者さんが稀にいますが、全身性のステロイドを高用量でかつ長期間使用した場合に副作用が問題になります。

繰り返しますが、局所ステロイド薬であるステロイド点鼻薬は「全身への副作用が極めて少ない安全性の高い薬」とされます。

主なステロイド点鼻薬の比較

一般名※ 商品名
(先発品名)
特徴
モメタゾン  ナゾネックス 最も普及している一つ。全身への移行(バイオアベイラビリティ)が0.1%未満と極めて低く安全性が高い。
フルチカゾン アラミスト 独自のデバイスで、横のボタンを押すタイプ。噴霧時の刺激が少なく、液だれしにくい。
フルナーゼ 長年の実績がある。後発品(ジェネリック)も多い。

※一般名は略称。
モメタゾン:モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物
アラミスト:フルチカゾンフランカルボン酸エステル
フルナーゼ:フルチカゾンプロピオン酸エステル

他にエリザス(粉末タイプ)もあります。

「比較」と書きましたが、現在はどれもジェネリックがあり効果も大差ないと考えていますので、どれでも良いです。
(「液だれ」が懸念される人にはアラミストを処方することがありますが…)

点鼻ステロイド薬の特徴と3つのメリット

アレルギーの薬といえば「抗ヒスタミン薬(飲み薬)」が一般的ですが、この飲み薬は鼻づまり(鼻閉)には効きにくい弱点があります。一方、ステロイド点鼻薬は「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」という鼻炎の3症状に等しく効果があるという点が特徴で、抗ヒスタミン薬(内服)だけでは改善しにくい症状に有効です。また飲み薬の代表的な副作用である「眠気」の副作用がなく、前述の安全性の高さからも長期使用にも推奨されます。

  1. 飲み薬が効きにくい鼻づまりにも有効
  2. 眠気がない
  3. 長期使用が可能

継続使用が重要

「炎症を抑える」作用機序であるため即効性はありませんが、数日〜1週間程度で効果が安定します。症状が軽快してからも継続使用することが大切です。効いて症状がよくなったからと言って、使用をやめないでください。「炎症を抑える」効果を持続し、症状が出ないようにする重要な薬なので、快適な状態を維持するためにもシーズン中は継続しましょう。

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ステロイド点鼻薬の使い方

点鼻薬を使っているけども「あまり効かない」という人は使い方が間違っているのかもしれません。一緒に確認していきましょう。

それって本当に「ステロイド点鼻薬」?

点鼻薬にはステロイド点鼻薬の他に「血管収縮型点鼻薬」があります。市販のものだと「ナザールスプレー」「パブロン点鼻」などが有名で、市販薬の殆どがこのタイプです。同じアレルギーにつかう「点鼻薬」という括りですが、作用の仕方や使い方が大きく異なります。「血管収縮型点鼻薬」は鼻の血管を収縮させる作用で、即効性があるものの一時的な使用に留めるべき薬剤です。3〜7日を超える連用で逆に強い鼻づまりを引き起こします。(薬剤性鼻炎)

点鼻薬が「効かなくなった」と訴える患者さんの殆どはこの薬剤性鼻炎です。
ステロイド点鼻薬の処方を受けましょう。

即効性があると誤解している

ステロイド点鼻薬は「即効性」よりも「継続」で効果が出ます。使い始めてから数日で効果が安定し始めるため、症状が軽い日も自己判断で止めずシーズン中は毎日継続しましょう。

具体的な使用方法

以下の手順を確認しましょう。

  1. 鼻をかみ
  2. 容器をよく振る
  3. 頭をうつむき加減にして鼻腔に入れて噴霧
  4. 静かに鼻から吸い、口から吐く

3-4を大人は2回繰り返す。(12歳未満は1日1回1噴霧ずつ)

ナゾネックス(モメタゾン)を例にあげます。

引用:ナゾネックス点鼻薬 使用される方へ(杏林製薬)

他の治療薬と併用も可能

ステロイド点鼻薬は、その他抗アレルギー薬である抗ヒスタミン内服薬やロイコトリエン受容体拮抗薬と併用可能です。鼻づまりが強い場合はステロイド点鼻を優先し、重症時は併用で効果的です。症状が軽い場合は、ステロイド点鼻薬のみの使用も可能です。

初期療法にもステロイド点鼻薬は非常に有効

炎症抑える作用機序ですので、アレルギー性鼻炎の初期療法にも非常にオススメです。初期療法はアレルギー症状が出る前、または出始めの軽い症状のうちから治療薬を使用し、アレルギー症状の悪化を防ぐ方法です。

ステロイド点鼻薬の副作用と注意点

鼻出血

主な副作用は局所的で軽微なものが多く、代表的なものは鼻出血、乾燥感などです。腫脹した鼻粘膜を機械的に刺激してしまうことで、発生してしまいます。前述の、正しい噴霧方法を理解し、噴霧の角度を調整することで多くは改善します。

感染症には逆効果

鼻の中にひどい傷や感染症がある場合は、ステロイドの免疫抑制作用により悪化する可能性があるため、使用を控える場合があります。(真菌感染症など)

ステロイドは炎症を抑える一方で、感染症には逆効果です。アレルギーではなく、感染症やその他によって、鼻づまりを生じている場合は無効です。使用を継続しても症状が持続する場合は、安易に使用を継続せず耳鼻科に受診をしましょう。

小児にも安全に使用可能

ステロイドの副作用は、小児への長期投与について懸念されることがありますが、近年の研究では、推奨用量を守れば身長の伸びなどの成長に有意な影響を与えないことが報告されています。 (出典:PMDA、日本アレルギー学会「アレルギー総合ガイドライン」)

ステロイド点鼻薬のまとめ

ステロイド点鼻薬はアレルギー性鼻炎には有効かつ安全性の高い第一選択薬です。飲み薬だけではなく、点鼻薬を積極的に使用しましょう。

  • 局所に作用するステロイド薬
  • 全身への副作用が極めて少ない安全性の高い薬
  • 飲み薬では効きにくい鼻づまりにも効果がある
  • 眠気の副作用はない
  • 効果が安定するまでには数日間は必要
  • 継続使用が大切で、長期使用も安全性が高い
  • 炎症を抑える作用機序(飲み薬は症状をブロック)
  • 症状を抑える、悪化させない効果がある
  • 軽症の場合はステロイド点鼻薬のみでの対応も可能
  • 症状が軽いうちから点鼻薬を使用
  • 市販の点鼻薬は効果は一時的
  • 効果的かつ継続的な鼻炎の治療にはステロイド点鼻薬を積極的に使おう

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