なないろクリニックでは睡眠薬お薬外来を解説しています。不眠の悩みが多い現代人に対して、オレキシン受容体拮抗薬(デエビゴ、ボルズィ)を中心に処方しています。このページでは、よくある質問や不安についてまとめてみました。
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デエビゴは保険のオンライン診療に対応しています。院内処方ですので、診療後ご自宅に処方薬を郵送可能な体制を整えています。
私は不眠症でしょうか?
眠りのトラブル(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)が1ヶ月以上続き、日中の疲労や眠気などで活動に支障が出る場合は、不眠症のおそれがあります。忙しい現代人は、様々な理由で寝付けない(入眠困難)などの不眠症に悩まされている人が5人に1人(20%)いるとされます。一度ご相談ください。
不安で心が落ち着かなくて寝れません。涙が出てきます。不眠症の薬を飲んだほうがいいですか?
純粋な不眠症ではない可能性が高いです。うつ病などの精神疾患が原因で不眠に陥ることがあります。また、その他疾患(睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など)で不眠になることがあります。そのような不眠の場合は、原疾患の治療が必要ですので、専門医療機関を受診してください。
睡眠薬はどのようなときに使用したら良いでしょうか?
まずは生活習慣の修正が大切ですが、慢性的な不眠症症状には薬物療法が有効です。現代人の悩みに多い軽度の入眠困難や中途覚醒に対しては良い適応かと考えています。
あくまで、睡眠薬は非薬物療法(睡眠習慣の改善や認知行動療法)の補助としての立ち位置ですが、実際の医療現場では、睡眠薬が処方されるケースも多いです。医師の診断のもと必要に応じて処方をします。
市販の睡眠導入剤ではだめですか?
ドラッグストアで買うような睡眠導入剤はどういった機序で眠くなるのかを解説します。花粉症の薬や総合感冒薬(かぜ薬)で眠くなった経験はありませんか?そのような副作用を逆手に取ったような薬です。
市販の睡眠改善薬(例: ドリエル、成分: ジフェンヒドラミン)は、第一世代抗ヒスタミン薬というタイプの薬で、抗アレルギー薬(鼻水止め)としても本来は処方されます。今は、眠気を引き起こしにくい第二世代抗ヒスタミン薬が主流なので少なくなりましたが、今でも風邪薬やアレルギー薬として処方されることがあります。副作用は他にも口渇があります。前立腺肥大による排尿困難、緑内障がある人にも使用できません。このような背景から、市販の睡眠導入剤は、睡眠の質改善を目的としたものではなく、軽症の一時的な不眠症状を緩和する目的に限定されます。慢性的に症状がある場合は、一度受診しましょう。
どんな種類がありますか?
当院で主に用いられる薬剤はオレキシン受容体拮抗薬(デエビゴ、ボルズィ他)および非ベンゾジアゼピン系(エスゾピクロン他)です。基本的には1種類を使用します。ベンゾジアゼピン系や抗不安薬などを多剤併用が必要な人は専門外来への受診が必要です。
どんな違いはありますか?
上記2種類以外にも機序が異なる睡眠薬はございますが、不眠症の改善効果は大きな差はありません。作用時間の長さが異なり、不眠症のタイプによって適切な睡眠薬を使い分けることが一般的です。
家族、友達の睡眠薬をもらいました。よく効いたので同じのを処方できますか?
そもそも処方薬を他人に譲渡や受け取りをしてはいけません。(法令違反)
前述の通り、不眠の原因は様々で不眠症薬の適応にならない病態もあります。作用時間や不眠症の症状によって薬を使い分けたり、まずは少量・短期間で始めたりなど、その人にあった処方が必要です。処方薬はサプリ(食品)ではなく医薬品ですので、副作用がでる場合もございます。まずは診察を受けてくださいね。
睡眠薬はいつ服用すればよいでしょうか?
就寝直前(10-30分前)に服用し、すぐに布団に入りましょう。食事と同時または食直後での服用は避け、アルコールやカフェインの摂取はしないでください。
効果発現は速やかで、起きているとふらつきや記憶障害のリスクが増します。基本は「眠る直前」です。
眠れない時だけ睡眠薬を服用してもよいでしょうか?
はい、可能です(ただし、後述の重症、多剤服用者は除く)。
不眠症薬は基本的に初日から効果実感が得られます。当院が主に処方しているオレキシン受容体拮抗薬を始めとした不眠症治療薬は頓用可能です、特に長期使用で依存症や副作用(反跳性不眠など)が懸念される非ベンゾジアゼピン系(ゾルピデムなど)の必要時使用は、毎日服用と同等の効果が期待でき、依存リスクを低減するため、頓用を推奨しています。ただし、重症不眠や多剤使用時はその限りではありません。自己判断で止めず、医師の指示に従いましょう。
寝れません、2錠服用しても良いですか?
処方医の許可・指示がない場合は、自己判断での増量は行わないでください。それぞれの薬剤には1日の最大投与量がございます。症状や経過に応じて医師の処方調節が必要です。場合によっては、薬剤や用量によっては2錠服用することも可能ですが、それは薬の特性を理解し、医師の指示のもと行う特殊な服用方法です。
寝つけない時や、夜間に目を覚ました時は追加で何時まで内服してもよいでしょうか?
追加は起床予定の6-7時間前までとし、1回分を超えないようにしましょう。(※前述の通り、医師の指示のもと、1日最大用量を超えない範囲に限る)例: 午前0時就寝で朝7時起床なら、午前1時まで追加可。必ず医師に相談を。基本的には、追加内服は依存や翌日残存眠気を招くので控えましょう。
寝酒をしないほうが良いのでしょうか?
はい、寝酒は避けましょう。一時的に寝つきが良くなるものの、睡眠の質を低下させ、中途覚醒を増やし、アルコール依存のリスクもあります。睡眠薬との併用は呼吸抑制や記憶障害を招くため厳禁。不眠の根本解決にはなりません。
睡眠薬は、晩酌後何時間くらい空けてから服用したらよいでしょうか?
添付文書上は、飲酒する場合は、睡眠薬は服用してはいけません。しかし、現実問題飲酒が避けられない場合もありますし、飲酒による催眠効果が薄れたタイミングで寝付けなくなる場合も考えられますので、1つの回答をします。
晩酌量によりますが、ビール1杯程度なら5-6時間以上空けましょう。アルコール弱い人や多量飲酒時は服用しないようにしましょう。禁酒が理想です。アルコールと睡眠薬の併用は中枢神経抑制を強め、ふらつきや呼吸困難の危険性が高まります。
睡眠薬を服用した翌朝に運転しても大丈夫ですか?
原則、禁止です。残存効果(持ち越し)で注意力低下や反応鈍化が起きやすく、交通事故リスクが高まります。短時間型薬でも高齢者や個人差で影響あり。起床後十分に回復を確認し、運転時は控えてください。
ストレスや精神的な病気が原因の不眠にも睡眠薬は効果がありますか?
はい、一部には効果的ですが、原疾患の診断・治療が優先です。うつ病の不眠では一部効果的ですが、不安が強い場合(PTSDなど)の不眠には効果は限定的で、統合失調症や躁鬱病などその他精神疾患への使用は不適切になる場合があります。また、うつ病に伴う不眠に関しても、抗うつ薬との併用が推奨されますので、何かしらの精神症状に伴う不眠と思われる方は、内科ではなく精神科への受診をお願いします。アルコール依存症に伴う不眠では推奨されません。こちらも精神科受診をおねがいします。
睡眠時無呼吸症候群の治療中です。睡眠薬を服用しても大丈夫でしょうか?
睡眠薬の中には筋弛緩作用で無呼吸を悪化させる(禁忌)のものがありますので、安易に服用せず、睡眠時無呼吸症候群の治療(CPAP シーパップ)を取り扱う医療機関に相談しましょう。睡眠時無呼吸症候群の治療が先決です。
高齢者でも服用できますか?
はい、可能です。
しかし、高齢者の睡眠薬服用には注意が必要です。睡眠薬の中には筋弛緩作用があるものがあり、副作用としてふらつき・転倒が懸念されます。せん妄の悪化リスクもあるため、医師に指示に従いましょう。もし私が処方するならば、オレキシン受容体拮抗薬の最小用量(デエビゴ、ボルズィの2.5mg)が妥当と考えます。
睡眠薬服用後の記憶がありません。副作用でしょうか?
はい、副作用の一過性前向性健忘(服用後の記憶喪失)が疑われます。ベンゾジアゼピン系で起きやすく、非ベンゾジアゼピン系とされるマイスリー(一般名:ゾルピデム)でも発生しうる有名な副作用です。アルコール併用でリスクが高まります。異常行動(暴飲暴食、意味不明な発言など)も伴う場合あり、階段があるところや自室以外で発生した場合は危険だと思います。マイスリー(ゾルピデム)など前向性健忘を生じる恐れがある睡眠薬を服用した場合は、必ず就寝直前に服用するようにしましょう。
一方、作用機序の異なるオレキシン受容体拮抗薬は健忘を起こしません。
依存性が心配です。依存性のない睡眠薬はありますか?
はい、比較的新しい薬であるオレキシン受容体拮抗薬(デエビゴ、ベルソムラ、クービビック、ボルズィ)やメラトニン受容体作動薬(ロゼレム)は依存のリスクは極めて低いと言われています。
一方、従来よく処方されていたベンゾジアゼピン系の睡眠薬は依存形成のリスクがあります。非ベンゾジアゼピン系とされるマイスリー(ゾルピデム)、ルネスタ(エスゾピクロン)も長期使用で依存形成のリスクがあります。依存リスクは種類や作用時間によっても、様々ですが、非ベンゾジアゼピン系であっても漫然と使用するのは推奨できません。
いつまで服用をすればよいのでしょうか?
特に決まりはありません。不眠症による日中の症状が改善してきた場合には、使用しない日を作りましょう。漠然と使用しないようにしましょう。夜間は安らかな時間を過ごせるように心がけ、眠気を感じたら速やかに床につくなど睡眠のリズムを保ちましょう。
ただし、依存の恐れがある薬剤を長期間服用している、複数種類の薬を服用している場合などは、自己判断で辞めることはせず必ず主治医の指示に従いましょう。
服用すれば眠れますが、治っているのでしょうか?
不眠症は睡眠のリズムが崩れ、入眠できない自体にストレスを感じることがあります。不眠症治療薬を用いることで、睡眠の質が向上し、不眠のストレス、疲労感が軽減し睡眠のリズムが整う場合があります。そういった場合は、自然と休薬できることも多いです。頓用(必要時に使用)する形でも問題ない場合は、頓用にしましょう。
一方、睡眠薬、不眠の根本原因(その他ストレスやうつ病などの精神疾患、生活習慣)を治すものではありません。精神的な不安定さがある場合は、専門医療機関(精神科等)を受診しましょう。
アプリをダウンロードし、診療メニュー > 睡眠薬お薬外来よりご予約ください。
デエビゴは保険のオンライン診療に対応しています。院内処方ですので、診療後ご自宅に処方薬を郵送可能な体制を整えています。

