若いときにはすぐねれていたのに最近寝付きが悪い、在宅ワークが多くなって昼夜逆転気味、眠りが浅くて途中で目が冷めてしまう、このような悩みはありませんか?

その悩み、現代人に多い不眠症かもしれません。

不眠症は現代病

不眠症とは、寝付きが悪い、何度も目が覚める、朝早く目が覚める、眠りが浅いなどの症状が続き、日中の活動に支障が出る状態を指します。日本人成人の20%が慢性的な不眠(※1)に悩まされています。不眠で悩む人の割合は、加齢に伴って増加します。これは加齢により必要な睡眠時間が短くなることとが関係していると考えられ、女性に比較的に多いとされます。

※1 参考: https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/disease/dyssomnia/

うつ症状はありませんか?

不眠の原因は多岐にわたりますが、うつ病などの精神疾患が不眠の原因となっている場合は、心療内科・精神科への受診を推奨しています。問診票で精神疾患の既往歴の聴取、うつ病のスクリーニングを行っています。

私、うつ病かも?と思う方へ

当院では、問診票で精神疾患の既往歴の聴取、うつ病のスクリーニングを行っています。以下に当てはまりませんか?

うつ病のスクリーニング問診

①ここ1ヶ月、気分が落ち込んだり憂鬱な気分になっている
②ここ1ヶ月、何をしても楽しくないと感じている

該当しないことを確認ください。また、以下の症状に当てはまるものはありませんか?

  • 気分の落ち込み、意欲減退(何事も億劫)
  • 興味の減退(趣味も楽しめない)
  • 理由もなく涙が流れる
  • この世から消えてしまいたい感覚がある

該当する症状が1つでもある場合、精神的に不安定である状態と思われますので、まず精神科・心療内科への受診を推奨しています。

うつ病による不眠は睡眠導入剤では治りません。

うつ病の治療は抗うつ薬が第一選択です。

睡眠障害は原疾患の治療が必要です

精神疾患(うつ病など)や他疾患(睡眠時無呼吸症候群、レストレッグス症候群)による睡眠障害は、不眠症とは異なります。睡眠薬による薬物治療では治りません、専門科での治療を推奨します。

既に多剤併用している方へ

以前から睡眠薬を多剤併用している方、特にベンゾジアゼピン系又はそれに近い睡眠薬(ハルシオン、デパス、マイスリー、サイレースなど)を使用している方で、それらが効かない、それらがないと不安という状態になっている方がいます。それらは依存状態になっている可能性があります。そのような睡眠薬への依存症が疑われる方(目安として2剤以上使用しても眠れなくなった状態)は専門科での診察・治療が必要です。

※使用薬が固定しており、安定して入眠が行えているという場合に限り、継続処方をすることはございます。

不眠症の症状

不眠症の症状として、①床に入ってもなかなか寝つけない(入眠困難)、②夜中に何度も目を覚ます(中途覚醒)、③朝早く目が覚めて再度寝付けない(早朝覚醒)、④ぐっすり眠った感じが得られない(熟眠障害)の4つが良く見られます。これらの症状が全て揃うことは少なく、年齢によって出現率は異なります。入眠障害が不眠症に最も多い症状で、布団に入って入眠するまでに、30分から1時間以上かかり、それを苦痛に感じる状態です。不安や緊張が強いときに起こりやすい傾向にあります。また、中途覚醒や早朝覚醒は中高年によく見られる傾向にあり、加齢による睡眠を維持する力が低下することに由来します。

治療の中心は薬物治療

不眠症の治療で大切といわれるのは睡眠習慣の改善です。詳しくはこちらを御覧ください。

まずは睡眠習慣の改善といっても、それで入眠できたら苦労しません。ストレスが仕事、家族、環境に由来する場合などは、不眠の原因を取り除くことが難しい場合もあります。そのような方に、良い適応なのが睡眠薬です。いまや、不眠症の治療の中心は薬剤治療です。一昔前の不眠症治療は、依存性のリスクがある薬が頻用され、睡眠薬の使用のハードルは高い状態でした。しかし、後述するデエビゴに代表されるような依存性が極めて低い睡眠薬も開発されており、睡眠薬の使用のハードルはかなり低くなったと考えています。内科でも管理が行えるような薬物治療に焦点を当てて記載していきます。

睡眠薬の種類・作用

睡眠薬は以下の2パターンに大別されます

  • 自然な眠気を誘発するもの
  • 脳の機能を低下させるもの

内科で処方機会の多く、入眠障害に効果が期待できる薬剤として「デエビゴ」もしくは、「ルネスタ」がおすすめしています。デエビゴが自然な眠りを誘発するタイプの睡眠薬で、ルネスタは脳の機能を低下させるタイプの睡眠薬です。初めて処方するのはどちらか1剤になります。

デエビゴ(一般名: レンボレキサント)

自然な眠気を増強して入眠障害、中途覚醒を改善

デエビゴは覚醒ホルモンである「オレキシン」の脳内受容体をブロックする薬で、睡眠覚醒リズムを整え自然な入眠と睡眠維持、覚醒をもたらします。

覚醒の維持の役割を果たすオレキシンをブロックして自然と眠くなります。

デエビゴは入眠障害、中途覚醒のいずれかまたその両方を伴う方に使用します。

効果は即効性あり、服用後30分ほどで効果を実感

デエビゴは服用後30分ほどで眠気が強まってきます。睡眠薬に共通して言えることですが、眠れる準備をしてから服用し、服用後はすみやかに床につくようにしましょう。

デエビゴの副作用

デエビゴの副作用として、以下の3つが代表的です

  • 悪夢
  • 睡眠麻痺(いわゆる、金縛り)
  • 眠気が残る

覚醒の維持ホルモンをブロックして眠気を誘発するので、悪夢(1.4%)や金縛り(1.6%)のような副作用が出現することがあります。また朝、眠気が残ることがあります。受容体をブロックするという薬の機序から、デエビゴの効果・副作用の程度には個人差があります。

デエビゴの用量は3規格

用量は2.5mg、5mg、10mgの3つあり、調節しやすいのも特徴です。当院の方針として、最小用量の2.5mgから開始します。(添付文書上は、5mgから開始し適宜増減しますが、眠気が残ることが多いので、最小用量の規格から処方する方針です)

依存性がないので頓用可能

後述するルネスタと違い、自然な眠気を強くする薬ですので、依存性が極めて生じにくい薬です。眠気が生じた日はデエビゴを使用せず床につくなど、常用を避ける形での使用(頓用)でも続けられます。

依存性がないため、最初の1剤はデエビゴをおすすめしています。

入眠作用が不十分な場合

デエビゴの用量を5mg、10mgと調整していきます。デエビゴは自然な眠りを誘発する薬です。デエビゴを増量しても、入眠障害が改善しない人は、次に紹介する、ルネスタを使用します。

(既にベンゾジアゼピン系の睡眠薬を常用している人などは、デエビゴの入眠作用ではカバーできないケースが多いように感じます。)

ルネスタ(一般名: エスゾピクロン)

効きが速い、残らない

ルネスタは、非ベンゾジアゼピン系に分類される睡眠薬です。脳の機能を抑えるタイプの睡眠薬ですが、入眠作用の発現が早く、作用時間が短いことが特徴です。

入眠障害に良い適応

その効きの速さ、切れの速さから入眠障害に使用される睡眠薬になります。作用時間が短いことから中途覚醒や早朝覚醒に効果が期待できない可能性があります。

ルネスタの規格は3規格

用量は1mg,2mg,3mgの3規格あり、調節しやすいのも特徴です。当院の方針として、最小用量の1mgから開始します。

依存性に注意が必要

従来のベンゾジアゼピン系の睡眠薬(特に作用時間の短いのハルシオン、デパス、レンドルミンなど)と比べ、非ベンゾジアゼピン系であるルネスタ(一般名:エスゾピクロン)は筋弛緩作用が少なく耐性がつきにくいため依存性が抑えられています。しかし、キレが良いお薬でその使用感から漠然と使用を続けると次第に必要量が多くなり、やめられなくなる可能性があります。

漠然とした使用は絶対にやめましょう。

空腹時に服用し服用後は速やかに就寝

食後だと効果が減弱してしまうため、空腹時に服用する必要があります。効きが速いことと、副作用として健忘(記憶を無くす)があるため、就寝直前に服用します。

お酒との併用は避けましょう

アルコールとルネスタの作用は似ているところがあり、どちらも脳の機能を抑制してしまう作用があり、作用が増強する恐れがあります。また、健忘やせん妄のリスクが上がり、依存性のリスクも上がってしまいます。アルコールとルネスタとの併用は極力避けましょう。

メンタルからくる不眠には漢方薬

メンタル(不安、イライラ、倦怠感、神経症)からくる不眠の方は、漢方薬をご検討ください。中には漢方特有の著効する方がいらっしゃいます。

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CLINICSアプリによる予約をお願いしています。(予約なしでの受付、電話予約も可能ですが、来院後に問診票に回答頂きます。)

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